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  第二章 詞藻論

第十節 表出法

第四項 咏嘆法

 文に勢力あらしめんため又は我が情の極めて激切なりしため、語句の間に咏嘆の聲を漏らすことあり、之れを咏嘆法といふ。「必らず凶年ありて人其れ流離せん鳴呼憶々時か命か古より斯くの如し之れを(おさ)むる奈何せん四夷に在り」などいふの類すなはち是れなり。咏嘆法の造句は種々あれど、句頭に噫、鳴呼等の感嘆詞を冠するもの、句尾に「かな」「か」「や」「よ」等の語を附するものなど其の重なるものなるべし。又語句の配置を轉倒せしめて咏嘆の意をあらはすことあるは倒裝法の理に連なれるなり。
 咏嘆法の文例多し。  此の他和歌發句の類に咏嘆句法多し。「契りおきしさせもが露を命にてあはれことしの秋もいぬめり」「山の端にくるればみゆる三日月のあなしら〴〵し人のいつはり」「これは〳〵とばかり花の吉野山」など、又は句尾に「かな」といふ嘆詞を附したるもの例へば「冬來ては案山子にとまる烏かな」「梅が香にのつと日の出る山路かな」「負うた子に髪なぶらるゝ暑さかなし「忘らるゝ身をば思はす誓ひてし人の命のをしくもあるかな」「皆人のしの顔にして知らぬかな必す死ぬるならひありとは」等枚擧に遑あらす。