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第三 主として增義の原理に基ける詞姿

 第二十四章 重義法

其の五 字裝法

 五八 字裝法は文字の形狀關係等を叙して文を裝ふもの、詳しくいへば文の本筋を成せる意義に加ふるに文字の關係に伴ふ意義を以てして、意義を二重にし、趣味を豐かにする詞姿である。例へば「といふ字を分析すればロシヤのロの字を切る心。」といひ、「商人は利を細うして糸へんに賣るといふ字を考へてせよ。」といひ、大丈夫は文字通りに踏ン張つて容易に動かねばこそ男。」といひ、二つ文字牛の角文字直ぐな文字といつてこひしの三字を寓し、或は七十七の賀を喜の字祝ひといひ、八十八の賀を壽といひ、邊のといひ、るをカハページといふ類ひ、凡て字裝法である、狐が瓜畠を荒らした時、狐よけにとて不角が作つた句、

己が身のつくりを食ふ狐かな。
彼れ(李踏天)が左の眼をくりしは、是れぞ韃靼一味の相圖、御覽候へ南殿の額、大明とは大きに明らかなりといふ字訓にて、月日を並べ書きたる文字此の大明は南陽國にして日の國なり、韃靼は北陰國にして月の國、陽に屬して日に譬へし左の眼をくツたるは、此の大明の日の國を韃靼の手に入れむ一味の印……(巢林子『國姓爺合戰』)
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