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新文章講話

 目次

緖論 其の一

…………………一―二〇

我が國の文章に於ける最近の大革新  革新の要點  舊新文章の比較  舊式文章の特色は典據的、技巧的なる點に在り  新式文章の特色は現實的、自然的なる點に在り  個々の語に於ける其の例  章句の組立に於ける其の例  舊式文章に於ける姿致橫生  新式文章に於ける無技巧の技巧  「無技巧」の誤られたる意義と眞意義  修辭無用論は眞理にあらず  新式文章にも修辭、技巧あり  轉義に於ける其の例  詞姿に於ける其の例  直喩法、隱喩法、擬人法、皮肉法、提喩法、對句法、朧寫法、漸層法等の例  組織趣向に於ける其の例  新舊文章の相違は趣味樣式の相違にして技巧有無の相違にあらず


緒論 其の二

………………二一―四〇

文章は經國の大業不朽の盛事  文章は人心に現はれたる眞善美を長へに傳ふるもの  文章とは何ぞ  思想を文字に現はしたるもの即ち文章  準文  知解の文と情感の文  思想傳通の三方法と文章技術と法則  法則は砥石の如し、自ら物を切らざれどもよく刃物を銳くす  先づ言語活動の法則を知るを要す  格に入り格を出でて始めて自在を得べし  法則の働きの終はる所即ち天才の働きの始まる所  似而非着眼、美辭補綴病、文法拘泥病、等  正しき着眼、六何  何故に、何事を、何人が、何處にて、何時、如何に  文章の三階級  正しき文と美文、惡文  先づ正しき文章を作り得る境に達せよ  備考三件


第一編 文章基礎論

……………四一―一八八

第一章 總說

………………四一―四五

富嶽の高きは基底堅く廣ければなり  文章にも亦堅き廣き基礎なかるべからず  二個の基礎的要件  思想の明寫、言表の穩健  基礎的要件を沒了せる文の例五則

第二章 思想の明寫

………………四五―五一

思想の明寫  言語文章の第一目的は思想の傳通にあり  意義不明なる文の例

第三章 文義の精確

………………五二―七七

精確と明瞭  第一に精確なるべし  用語の意義と言表する事理とを明らかに知るを要す  精確の四要件  意義精確なる語を用ゐよ  汎語、曖昧語、同辭異義の語、異辭同義の語を濫用する勿れ  代名詞の濫用を戒めよ  語の關係を明らかにせよ  斜視的文章  句讀は精確を助く  槪括的叙述と特殊の事實の叙述とを混ずべからず  相陷的文章  語と思想とを適合せしめよ  歸重の點を明らかにせよ

第四章 文義の明瞭

……………七七―一一六

學者と共に考へよ、俗衆と共に語れ  讀ましむるの權利なく讀むの義務なき文章  文義の明瞭とは何ぞ  達意の文  明瞭に二要件あり  一、讀者の知識程度に對する適應  用語の通俗  難解の古語を用ゐること勿れ  不通の名稱を揭ぐること勿れ  難解の古事を引くこと勿れ  言表の簡易  難解の譬喩を用ゐること勿れ  句讀を短くせよ  吊懸的文章  言表の周到  浸りに主格を略すること勿れ  簡と明と  二、一般人心の作用に對する一致  秩序あらしむべし  聯絡あらしむべし  統一あらしむべし  語句を照應せしむべし  主格の統一あらしむべし  文相の偶整あらしむべし

第五章 言表の穩健

……………一一七―一一八

穩健とは何ぞ  穩健に純粹、穩當の二面あり

第六章 文章の純粹

……………一一八―一五六

純粹の要むる所は純なる國語を用ゐるにあり  純粹の積極的要求及び消極的要求  要求の四方面  國、現時、遍通、品位  外國語を濫用すぺからず  其の除外例  外國の語格を濫用すべからず  御國風みくにぶりと漢文風の語格  廢語を濫用すべからず  廢語の三種  我が古言の廢れたるもの  漢語の廢れたるもの  意義の廢れたるもの  生命ある文章は活きたる言葉を以て書かざるべからず  備考二件  廢語格と振假名式  新語、濫造語を濫用すべからず  地方語を濫用すベからず  術語を濫用すべからず  訛語を濫用すべからず  俚語を濫用すべからず  不純粹即ち不調和  態度の一致  文格の一致  雅言格、俗言格の混用  日本文の將來の多難と多望

第七章 文章の穩當

……………一五六―一七五

穩當とは何ぞ  嵌まるやうに、据わるやうに、落ちつくやうに  內容を定むるは文章家の事業の一半に過ぎず  穩當は名匠の最も苦心したる事の一なり  如何なる思想にても、最もよく之れを表はす語は世界に唯だ一個あるのみ  不穩當も滑稽文學に於いては難ずべからず  不穩當、時に却つて穩當たることあり  彷徨文、齟齬文  態度に適應したる語を用ゐるべし  時代違ひ、場所違ひを戒むべし  古事古語のき違ひを戒むべし  穩當は基礙的要件中の最頂點、又文章の極致なり

第八章 文章の破格

……………一七六―一八八

合法合格は基礎の基礎なり  働きことばの活用の不法  時の不法係結の不法  照應の不法  組織されぬ文章には思想完全に現はれず  組織上の不法  雙頭文  雙尾文  橫走文


第二編 文章修飾論

……………一八九―四九二

 第一部 詞姿汎論

……………一八九―二二三

第一章 詞姿の意義及び効力

……………一八九―一九三

知解の文と情感の文と  文章修飾論の職分  詞のあやなし方、之れを詞姿といふ  詞姿の効力、價値  詞姿は趣味を生み出だす  詞姿は修飾の形式なり、言表方の變態なり

第二章 詞姿の原理

……………一九三―二二三

詞姿の原理に八種あり  語の選擇  平語と華語  八種原理の說明  第一、結體の原理の要求は無形の事理を凝固せしめて、見るやうに觸るゝやうに感ぜしむるにあり  第二、朧化の原理の要求は背感の、若しくは銳く感を惹く事物をぼかすにあり  第三、增義の原理の要求は主體に關係ある事物を添加して意義を富ますにあり  第四、存餘の原理の要求は想像の餘地を存するにあり  第五、融曾の原理の要求は言表法を整正して事理を會得し易くするにあり  第六、奇警の原理の要求は奇言人を驚かすにあり  融會の原理は豆腐を供し、奇警の原理は妙豆を供す  第七、順感の原理の要求は人の感情に適應するにあり  第八、變性の原理の要求は醜を變じて美となすにあり  八種原理の総合的說明  備考三件  詞姿と轉義  詞姿の分類  古來の修辭學者の詞姿分類を評す  詞姿の數

 第二部 詞姿各論

……………二二四―四九〇

第一 結體の原理に基ける詞姿

……………二二四―二九九

第三章 直喩法

……………二二四―二三六

直喩法とは何ぞ  譬喩は人を敎化するに至大の効力あると同じく、人を惑はすにも驚くべき効力あり  直喩を用ゐるについて注意すべき三要件

第四章 隱喩法

……………二三六―二四二

隱喩法とは何ぞ  隱喩は煎じ詰めたる直喩なり  直喩隱喩の交用について  譬喩の重用を戒めよ  比較の隱當と文路の自然と

第五章 諷喩法

……………二四二―二四七

諷喩法とは何ぞ  諷喩は教訓、諷刺に用ゐて最も効あり  諷喩の三種

第六章 活喩法

……………二四八―二五六

活喩法とは何ぞ  活喩の精髓は擬人也  活喩の二種  一、非情の事物を有情物扱ひにするもの  二、非情の事物をして人間らしく活動せしむるもの  單に活動せしむるもの  人間の如く說話せしむるもの

第七章 結晶法

……………二五七―二五九

結晶法とは何ぞ

第八章 問答法

……………二五九―二六三

問答法とは何ぞ  二種の定義

第九章 擧例法

……………二六三―二六八

擧例法と譬喩との異同  アリストートルの謂はゆる修辭的歸納法

第十章 誇張法

……………二六八―二七五

誇張法とは何ぞ  其の二種  誇張には內容の伴ふ事と情の充實とを要す  科學の文、歷史地理の文等に此の法を濫用すべからず  外史と左傳と  誇張法の妙は主觀的自然の現はれたる所にあり

第十一章 現寫法

……………二七五―二八〇

現寫法に過去の現在化と未來の現在化との二種あり  現寫法にも亦主觀的自然を緊要とす

第十二章 對照法

……………二八〇―二八六

對照法とは何ぞ  對照法の二類  語句の對照と思想の對照  對照法と對偶法との異同  抑揚、頓挫、波瀾、起伏、擒縱等は對照法の一種と見るべし

第十三章 抑揚法

……………二八七―二九〇

抑揚法に褒貶と口調の緩急との二義あり  對照法、飛移法との關係  頓挫の意義

第十四章 換置法

……………二九〇―二九一

換置法は出直し法なり  對照法、漸層法との關係

第十五章 括進法

……………二九二―二九五

括進法とは何ぞ  其の効は散漫を防ぐにあり

第十六章 列叙法

……………二九五―二九七

列叙法とは何ぞ

第十七章 詳悉法

……………二九七―二九九

詳悉法とは何ぞ  國文には詳密なる叙述をなすに適せざる傾きあり


第二 朧化の原理に基ける詞姿

……………三〇〇―三〇八

第十八章 稀薄法

……………三〇〇―三〇三

朧化的詞姿の特色  稀薄法とは何ぞ  稀薄化のいろ〳〵  忌詞

第十九章 美化法

……………三〇四―三〇六

美化法とは何ぞ  隱喩との關係

第二十章 曲言法

……………三〇六―三〇八

曲言法とは何ぞ


第三 增義の原理に基ける詞姿

……………三〇九―三四六

第二十一章 引用法

……………三〇九―三一一

引用法とは何ぞ  引用法使用上の注意

第二十二章 隱引法

……………三一一―三二一

隱引法とは何ぞ  鸚鵡返は一種の隱引法なり  換骨、脫胎、洗臟、剽竊、襲踏、燒直と隱引法  古文を摸するには之れを凌駕すべし、少なくとも我が主位を犯されざる覺悟あるべし

第二十三章 緣裝法

……………三二一―三二七

緣裝法とは何ぞ  枕詞及び序詞  枕詞及び序詞の活用

第二十四章 重義法

……………三二八―三四六

重義法とは何ぞ  重義法に添義法、秀句法、雙叙法、語路法、字裝法、類裝法、數裝法、交叙法の八種あり  添義法は振假名式なり  秀句法は懸詞法ともいふ  秀句法は言懸によりて本旨を助けざるベからず  秀句法と文の品位  地口  雙叙法は一觀念によりて二個の事物を現はすものなり  雙叙法は重義法の最も上品なるものなり  語路法を用ゐるには時機を考へざるべからす  語路法に洒落と諷刺とあり  字裝法  類義法  數裝法  交叙法


第四 存餘の原理に基ける詞姿

……………三四七―三九八

第二十五章 擧隅法

……………三四七―三五二

擧隅法とは何ぞ  此の法は主體を言はぬ所、言ひ盡くさぬ所、言はずして容易に察せしむる所に味はひあり  擧隅的引用  備考  西洋の修辭に謂はゆるSynecdoche(提喩法)metonymy(換喩法)と擧隅法との關係  此の詞姿に關するハーバート、スぺンサーの說明

第二十六章 側寫法

……………三五三―三五六

側寫法とは何ぞ  俊基の『悅目抄』  擧隅法との異同

第二十七章 省略法

……………三五六―三七一

省略法とは何ぞ  省略法は一種の增勢法なり  省略法を分かちて五類とす  一、天爾遠波又は助働詞を省くもの  二、主語を省くもの  三、句を省くもの  四、句の頭尾を掛持にするもの  五、要點のみを朧ろに寫すもの  省略の呼吸  取りおとし取りおとしたる海鼠かな  哀れなりといはずして哀れなるが肝要なり  言葉なき所に文あらしむべし  簡潔は必ずしも詳密を斥けず  櫻切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿  歐陽修の『醉翁亭記』によりて簡潔詳密を論ず  寫生式、印象式の精細的繁絮的、彽徊的描寫にも味はひあり  疎々密々

第二十八章 斷叙法及び接叙法

……………三七一―三七六

二法の定義  備考  斷叙法は昔の修辭學者に重んぜられたり

第二十九章 接離法

……………三七六―三八〇

接離法とは何ぞ  接離法は一種の句讀法なり  上字下讀、下字上讀の妙味

第三十章 反言法

……………三八〇―三八八

反言法とは何ぞ  反言法に逆語法、反語法の二種あり  逆語法は滑稽、物忌等の爲めの反言なり  「入間樣」  反語法は諷刺暗誚の反言なり  顯はに稱へて實は譏る反語と、顯はに譏りて實は稱ふる反語と

第三十一章 皮肉法

……………三八八―三九四

皮肉法とは何ぞ  破邪に用ゐるべくして顯正に用ゐるべからず  情極まつて出づる皮肉、哀戯、ユーモア

第三十二章 設疑法

……………三九四―三九六

設疑法とは何ぞ  設疑法の疑問は難解の質問にあらずして容易に決し得る疑問なるべし

第三十三章 倒裝法

……………三九七―三九八

倒裝法とは何ぞ  述部を前にし主部を後にするを普通形式とす


第五 融會の原理に基ける詞姿

……………三九九―四二一

第三十四章 漸層法

……………三九九―四〇七

漸層法とは何ぞ  漸層法は譬喩法と同じく最も人を惑はし易し  漸層法に對しては警戒を要す  潜滋暗長  備考  漸降法は詞姿たるべき價値なし

第三十五章 飛移法

……………四〇七―四一四

飛移法とは何ぞ  飛移法に二類あり  一、昇移法  二、降移法  頓降法は漸層法と降移法とを合はせたるものなり  詞姿より見たる滑稽  對照の滑稽と降移の滑稽

第三十六章 序次法

……………四一四―四一六

序次法とは何ぞ  其の二法  歸納的叙述と譬喩的叙述

第三十七章 連鎻法

……………四一六―四二一

連鎻法とは何ぞ  連鎻法の妙味は上授下受の推移にあり  大祓詞


第六 奇警の原理に基ける詞姿

……………四二二―四二七

第三十八章 警句法

……………四二二―四二五

警句法とは何ぞ  警句は蜂の如し、形小にして、蜜あり、針あるべし  警句に三種あり  一、言の奇なるもの  二、平凡なるが如くにして深長なる意味あるもの  三、語逆理順の警句、若反法

第三十九章 奇先法

……………四二五―四二七

奇先法は說明附きの警句なり  快く欺かるゝ一種の文飾


第七 順感の原理に基ける詞姿

……………四二八―四七一

第四十章 反覆法

……………四二八―四三七

反覆法とは何ぞ  廣義に謂ふ反覆法と狹義に謂ふ反覆法  全く同一なる語句を繰り返す反覆法  語句の小部分を變じて繰り返す反覆法  列擧、漸層、換置等の趣致を加味したる反覆法  重複  兩點讀  兩點讀は說明的反覆法なり  同義語の重複  同語の重複  贅言

第四十一章 其の他の反覆的詞姿

……………四三七―四四五

頭韻法、脚韻法、疊點法、反照法、照應法も反覆法の一種なり  頭韻法とは何ぞ  脚韻法とは何ぞ  頭韻法、脚韻法を一括して句拍子といふを適當とす  疊點法とは何ぞ  反照法とは何ぞ  照應法とは何ぞ

第四十二章 對偶法

……………四四六―四五二

對偶法は調子の上の反覆法なり  對偶法と對照法との異同  對偶法の緖形式  對偶は常に自然なるべし  表面に顯はれたる對偶よりも對と見えずして對したるを選ぶべし

第四十三章 避板法

……………四五二―四六二

避板法は累調の忌味な避くる詞姿なり  避板法の四類  一、語句前後法  二、用語轉換法  三、長短參差法  四、諸體交用法  避板法より見たる『論語』三不亦乎章の批評

第四十四章 擬態法

……………四六三―四六七

擬態法とは何ぞ  擬態法は日本文に最も多く用ゐらる

第四十五章 咏嘆法

……………四六八―四七〇

咏嘆法とは何ぞ  咏嘆法と平叙文と  咏嘆法は淚の如し、抑ふべからざるに灑ぎて始めて効あり

第四十六章 情化法

……………四七〇―四七一

情化法とは何ぞ


第八 變性の原理に基ける詞姿

……………四七二―四九〇

第四十七章 方便法

……………四七二―四七三

方便法は文の美を發揮する方便として醜なる要素を用ゐるものなり

第四十八章 遮斷法

……………四七四―四八〇

遮斷法は文路を斷ちて、續けたるよりも多くの効を收む  遮斷法の三種  一、斷絕法  二、折挿法  三、招呼法

第四十九章 變態法

……………四八〇―四八二

變態法とは何ぞ

第五十章 超格法

……………四八二―四九〇

超格法は法格を破りて遵法以上の効果を收む  超格法の三種  一、不精不明不純不穩にして而も妙なるもの  二、照應せず、纏まらずして而も妙なるもの  三、不可解にして而も妙なるもの

第五十一章 修飾論結收

……………四八〇―四八二

詞姿を用ゐるに注意すべき事、三件  一、基礎的要求を滿たし得て後に文飾を用ゐるべし  二、情感の文に用ゐるべし、知解の文に濫用すべからず  知解の文には飾なきが飾なり  三、場合により、主題によりて、適切隱當なる詞姿を用ゐるべし


第三編 文章組織論

……………四九三―五二二

第一章 文章組織の三要事

……………四九三―五〇八

組織論は體制上の工夫を說くものなり  文章の要素  一、個々の語  二、個文即ちセンテンス  三、句  四、節  五、章  六、篇  文章の組織に肝要なるは秩序、聯絡、統一の三者なり  統一は三者の樞軸なり  起稿の順序  材科の蒐集  結心  腹案  文章組織上の虎の卷  小部分の瑕疵は字句改竄の局部治療によりて除き得べし  體制の整はざる文章は全部を築き直すより外救治の道なし  秩序、聯絡、統一の保たれざる文例  司馬遷の「屈原傳」に對する宋景濂の改竄  秩序、聯絡、統一の保たれたる文例

第二章 文章組織の形式

……………五〇九―五二二

文章組織上の緖形式  古來最も多く行はれたるは四段別、五段別、六段別の三說なり  西洋修辭に普通なる段別  漢文に普通なる段別  佛敎學者間に於ける三段說  最も簡單自然にして要を得たるはアリストートルの二分節と佛者の三分說となり  漢文家の煩瑣なる組織說  文章體制に關する私見  體制の五形式  一、追步式  二、散叙式  追步式、散叙式は古來の組織論に見えざれども一種の組織法と見るべし  三、頭括式  四、後括式  五、雙括式  五形式の中、最も隱健にして多く用ゐらるゝは追步、雙括の二式なり


第四編 文章精神論

……………五二三―五三六

第一章 材料と思想と

……………五二三―五二六

文章の材料と思想との關係  至美絕妙の文は水晶の窓を透ほして寳藏を覘くが如し  美術的製作物は天然に生じたるが如くにして始めて美なり  文章と誠實と  文章は我が心を以て他の心を動かすものなり  文章の人を動かすは赤誠あればなり

第二章 熱情及び思想の價値

……………五二六―五三六

漢文に於ける赤誠ある文章の三絕  細井平洲の書翰  上杉鷹山公の書翰  秀吉の遺書  思想の價値  神來、インスピレーシヨンとは何ぞ  大西視氏の論文  自隱禪師の書翰


第五編 文章の種類及び文體

……………五三七―五七九

第一章 文章の種類

……………五三七―五五三

文章の種類  言語排列より見て散文、律文  思想の性質より見て知解の文、情感の文  情感の文を別かちて叙事文、抒情文、劇風の文の三種とす  西洋修辭學者の文章四種別  一、記實文  二、叙事文  三、說明文  四、論文  四種の文章は必ずしも其の一種に專屬して他種を混ぜざるにあらず

第二章 文體槪論

……………五五三―五五七

文體は詞姿を取捨、配合、統一す  文體は文章の容姿なり  文體は八方面より見らる  一、國土より  二、時代より  三、種類より  四、品位等より  五、思想材料の性質より  六、文字排列の方法より  七、用語の多寡選擇より  八、作家自身の個人的手振より  文章家は個人的特色あつて始めて一家を成す

第三章 西洋修辭學に於ける文體

……………五五七―五七九

西洋修辞學に普通なる文體は用語の多寡選擇によれるものなり  其の主要なる十餘種  內容と言語との釣合より見て二種  簡潔體  蔓衍體  勢力の有無、性質より見て二種  剛健體  優柔體  嵯峨體は剛健體に屬すべし  修飾の多少によりて五種  乾燥體  平明體  淸楚體  高雅體  華麗體  右の五種は寧ろ乾燥體と華麗體との二種に約すべし  素樸體  熱烈體  西洋修辭家に說かるゝ其の他の文體  支那修辭家の文體論  文體習得に關する注意  一種の文體を摸する勿れ  古人の文を學ぶ、其の人の祖父を知るべし  自家特殊の風格を失ふ勿れ  自家文體の獨立は文章の獨立なり


第六編 文章に關する思想の變遷

……………五八一―六三一

東西修辭學史  支那の六藝と西洋中世の七自由學藝  修辭學即ち文章學

第一章 西洋に於ける修辭學の變遷

……………五八二―六二四

修辭學を創建したるは西洋なり  西洋修辭史の五期  第一期、希臘の修辭學  修辭學の創始者、完成者は希臘人なり  修辭學はコラックスに始まる  其の體制五段說  其の盖然論式  アンチフヲン  法延辯論代作者  アイソクラテス  其の著述及び定義  アリストートル  アリストートルの『修辭學』は歴史的、科學的に見て驚くべき名著なり  彼れはソフィストの手より修辭學を救へり  其の道義的態度  彼れは修辭學の總本家、大問屋なり  アリストートルの『修辭學』の梗槩  第一卷  修辭學は論理學と對の學問なり  從來の學者の徒勞と斯學の本領  二段論法  修辭の必要なる理由、四ケ條  一、匡正的  二、敎訓的  三、暗示的  四、防衞的  修辭學の定義  非技術的方法と技術的方法  技術的方法に倫理的證明、情緖的證明、論理的證明の三あり  論理的證明最も肝要なり  論理學の三段論法、歸納法に對して修辭學に二段論法、擧例論法あり  二段論法は修辭的三段論法といふべく、擧例論法は修辭的歸納法といふべし  論のかた  修辭の三種  唱諮的修辭  裁判的修辭  顯彰的修辭  三種の修辭に必要なる事  擧例論法は唱諮修辭に適し、二段論法は裁判修辭に適し、擴充誇張の法は顯彰修辭に適す  非技術的證明に法律、現證、證書、栲問、宣誓の五種あり  第二卷  倫理的證明  辯者の信用を博する三因  知識、德、及び聽者に對する善意  情緖的證明  情緖の分析  普通論式  擧例論法に歷史的擧例法と技巧的擧例法とあり  後者に假作例と假作物語との二種あり  二段論法の効力  二段論法に立論的、駁論的の二種あり  似而非二段論法  第三卷  辯說に關して硏究すべき三點  話術  證明の一事を除きて他は悉く疣贅なり  文體の美の宿る所  明瞭  妥當なる語  解り易き語  隱喩  隱喩使用の規則  性質形容詞  直喩  組立法  文法上の正確と用語法の純粹  其の四個條の法則  文體の隱雅  其の三要事  韻律  散文、辯說に最も適する韻律は一良三短ピオニックなり  聯接體と停步體  對偶  文體の美の根本は「氣持よく報告を受け取る事は自然に萬人の心を喜ばす」といふにあり  對偶、隱喩、活喩  快く欺かるゝは文の味を加ふ  秀句  誇張  修辭の種類と文體  文章に適當なる文體と辯說に適當なる文體  材料整理  段落四大別論  あらゆる場合に必然に重要なるは論旨叙說と其の立證となり  三種の修辭に對する從來の四大別論の適用  設疑と嘲笑  結論に適したるは斷叙文なり  アナキシメネスの修辭學  希臘修辭の末期  ホルテンシウス  ヘルマゴラス  第二期、羅馬の修辭學  其の魁、ケートーとアントニウス  最も完備したる修辭書"Rhetorica ad c. Herennium."  其の修辭分類及び六段組織論  羅馬修辭學の泰斗はシセロとクィンチリアンとなり  シセロの名著『雄辯家』  クィンチリアンの大著『雄辯術系統』  其の實際的傾向  彼れに該博、折衷、集成ありて新機軸なし  ヘルモゲネス  ロンギヌス  エーリウス、セオン  技術實習は羅馬に於いて空前絕後の盛運に達せり  修辭學の敎師ソフィスト  修辭學校組織の完備  二個の敎座  修辭學者の勢力  其の優待  辯說の二種、勸說的と論爭的  羅馬以後の修辭學  第三期、中世期の修辭學  三學科と四學科  七自由學藝當時の學者  第四期、文藝復興期  主なる學者及び著述  當時の傾向  十八世紀に至りて修辭學漸く世に忘らるる  近世修辭の序開きをなしたるフランシス、ベーコン  第五期、近世の修辭學  其の魁、ブレーア、カメル、ホエートリー  三名家の三名篇  其の後の主なる修辭學  希臘以後の修辭組織に其の主要部に於いてアリストートルに據れり  修辭思想の變遷  古今修辭の相違點、三  一、古は廣く今は狹し  二、古は知解勸說を主とし、今は情に訴へ美を說くを主とす  三、古は辯說を主とし、今は文章を主とす  今後の修辭學の主要部は感情的文章の硏究にあり

第二章 東洋の修辭論

……………六二四―六三一

東洋には斷片的、纂輯的修辭論ありて修辭學なし  支那の修辭論の起原  詩の六義說、及び孔子の思無邪說、辭達而已說  支那修辭論の祖は梁の劉勰の『文心彫龍』なり  梁の任彥升の『文章緣起』  宋の陳騤の『文則』  宋の嚴羽の『滄浪詩話』  元の陳繹曾の『文筌』  明の高琦の『文章一貫』  明の歸震川の『文章體則』  明の徐師曾の『文體明辯』  淸の唐彪『讀書作文譜』  支那の修辭論には量と廣さとの發達ありて質と組織との發達なし  支那修辭論の隨一は劉勰の『文心彫龍』なり  日本の修辭論  我が修辭論の祖は空海の『文鏡秘府論』なるべし  貫之が歌の六義說  和歌四式  和歌髄腦等  明治の修辭學


第七編 國文沿革の槪要

……………六三三―六六六

第一章 上古の文章

……………六三三―六三六

吾人は先づ如何なる書を讀むべきか  文書選擇の二標準  一、最良の文章を讀め  二、一時代の思潮を代表する著作を讀め  先づ國文の幹部を讀むべし  國文の祖『古事記』  其の特色、文例

第二章 文章としての中古文

……………六三七―六四九

平安朝文章の代表者としての『源氏物語』『枕の草子』  平安朝文章の第一の特色は優美といふ點に在り  平安朝文章の「うるはしさ」、女性美、軟性美  平安朝文章は時代により種類によりて其の調子を一にせず  平安朝文章の第二の特色は最初の完備したる日本文たる點に在り  目に視る日本文は此の時代に始めて成立せり  第三の特色は國文の立法者たる點に在り  平安朝文章は閲すべき文に非ずして、讀むべき文章なり  名文の地位に立つて法を下す權威あるは、古今唯だ平安朝文章あるのみ

第三章 中古以後の文章

……………六四九―六六六

鎌倉時代の文章の代表者としての『平家物語』『源平盛衰記』  其の特色、文例  足利時代の文章の代表者としての謠曲及び狂言  其の特色、文例  德川文學の二期  元祿文章の代表者としての西鶴、芭蕉、巢林子  其の特色、文例  文化文政期文章の代表者としての馬琴、三馬、京傳、種彥、一九、春水  其の特色、文例  德川時代の文章に於ける擬古文及び擬外國文  直接に大作其の物を讀め


第八編 文章の品位及び結論

……………六六七―六七二

各種の文章の讀者に與ふる感じ  各種の文章に於ける特殊の趣味  文章の品位は主として思想の價値と作者の人格の高下とによる  品位最も高きは古聖人の文なり  新約書の文章  法華經の文章  文章の極致は人格にあり

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