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空言 そらごと —— | ||||||||||||||||
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——『迷い猫オーバーラン!』1巻22ページ (松智洋[原作]・矢吹健太朗[漫画] /集英社 ジャンプ・コミックス) |
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空言は、現実的には行うことのできないような言いまわしをつかって、相手をののしることをいいます。 | |||||
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相手の発言が「ヤボ」だったりしたばあいに、ののしったりバカにしたりするといった効果があります。 | |||||
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現実的ではないことばを、投げつける。このような場合には、相手を見下したり、侮辱したりすることができます。 | |||||
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あいてをののしったり、侮辱したりする。それは、一見すると相手を強く非難しているように思えます。ですが実際には、「空言」はバカらしさをもっている。そのため、ののしりや侮辱cであるにもかかわらず、どことなく滑稽な雰囲気がただよいます。 | |||||
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「空言(そらごと)」が使われていた。その場合でも、文法的に考えただけでは問題があるようには見えません。 | |||||
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たしかに、文法上の間違いはない。けれども意味を考えると、そのようなことが起こるはずがないことが、カンタンにわかる。ここが、この「空言」というレトリックで重要なことです。 | |||||
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「空言」というのは、あくまで「ことば遊び」です。つまり、書き手(話し手)が「空言」にあたる表現をした。そのときには、読み手(受け手)のほうでも、それが一種の「ことば遊び」であるということを、分かっていることがポイントです。このポイントをはずすと、「意味不明なことを話して(書いて)いる」ということに、なりかねません。 | |||||
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引用は、『迷い猫オーバーラン!』1巻からです。 主人公は、巧。 作品の舞台は、洋菓子店。店主は、巧の姉である乙女。けれども、店主に旅行くせがついているので、あまり店の仕事にかかわっていない。 実質的には乙女の弟である巧と、その幼なじみであるアルバイトの文乃が店をどうにか経営をしている。乙女は、外国で人助けをしたりネコを拾ってきたりしている。 そういった乙女の行動を、まず大吾郎(クラスメートのひとり)。だけれども、これに対して、 と言う。これに対して巧は、 と、文乃に話しかける。これに対する文乃の返事が、問題の「空言」にあたります。 この「二回死ね!」。これは、現実的には行うことのできないような言いまわしをつかって、相手をののしっている、と言えます(くわしくは、 ![]() ![]() |
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有名な「空言(そらごと)」としては、次のものがあげられます。
では、どういったものが「空言」にあたるのか。この「空言」が成立するための条件を細かくみていると、つぎにあげる
ですので、こういったフレーズが、 ![]() ![]() ![]() |
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まずこの「おととい来い!」は、文法の上では問題ありません。「あした来い!」が文法の上で問題ないのと同じように、文法が「おととい来い!」を排除することはありません。![]() ですが、「おととい来い!」というフレーズは、意味を考えると問題にぶつかります。それは、おとといに戻って改めて来る、というのがありえないからです。まあ、タイムマシンでもあるなら、無理ではないかもしれない。ですが、そういった事情は考えにくいので、意味としては、異常だといえます。 ![]() そして、この「おととい来い!」という文。これは、相手をけなすために使われるものです。「おととい来い!」は、ようするに「2度とくるな!」ということを意味している。これは、けなすために使われていることは、間違いありません。 ![]() |
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つぎに「豆腐の角に頭をぶつけて死んでしまえ!」について。 文法から見れば、おかしなところはありません。 ![]() ですが、「豆腐の角に頭をぶつけて死んでしまえ!」と言いまわし。これが表そうとしている意味を考えたばあいには、強い矛盾があります。当然のことながら人間は、「豆腐の角に頭をぶつけて」も、死ぬことがないからです。 ![]() そして、この「豆腐の角に頭をぶつけて死んでしまえ!」という表現。これは、バカな人だと侮辱してののしることを意味しています。 ![]() |
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それを踏まえて、「二回死ね!」を考えてみる。 するとまず、文法から見てみると問題ないことが分かります。 ![]() けれども、人間は「二回死ぬ!」ことができません。「人間」だけではなく、どんな生物でも「一回」死ぬことしかできません。したがって「二回」も死ぬことを求めている「二回死ね」という表現は、つじつまの合わないことになります。したがって意味から考えると、ありえない言いまわしになってしまいます。 ![]() そして、その真意。このシーンでの「二回死ね!」というのは、ほんとうに相手を殺そうとしているわけではありません。心配をしていることが、巧にバレてしまった。そのバレたことを隠すために「二回死ね!」といっている。つまり、巧にたいしての「侮辱」ということがいえます。 ![]() |
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空言(そらごと) |
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ダブルミーニング、同時的音喩、ことば遊び、重義法、しゃれ、地口、秀句法、雙叙法、掛けことば、駄洒落、打ち返し、語路合わせ、早口ことば、なぞかけ、文字鎖・しりとり、類喩、数装法、異分析 | |||
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このレトリックに「空言(そらごと)」という名前を与えているのは、この本によるものです。[第7章 秀句系ことばあそび]に書かれています。 | |||
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「ありえないこと」という節が、「空言」の解説にあたります。例文は、こちらがくわしいと思います。 | |||
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この「二回死ね!」は、「侮辱」と考えていいのか微妙なところもあります。文乃は、いわゆる「ツンデレ」属性があります。レトリック用語でいえば「反語」に近いモノも見受けられます。ですので、表面だけは「侮辱」していても、実際には「喜んでいる」ばあいもあります。 たとえば文乃が更衣室で着替えているときに、巧が更衣室入ってしまったばあい。ここでの「二回死ね!」は、完全に「ののしる」「侮辱する」にあたります(1巻p13)。ですが、そうではないシーンでも、「二回死ね!」が登場します。 どこまでが本意で、どこまでが「反語」にあたる表現なのか。それは、カンタンには分からないものもあります。 |
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