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寓言 ぐうげん parable
ヒロシ ん?
ちょ… お 重い……
あ…足…足が…
しびれて…」
だめだよ えこ
もうすぐテストなんだ
勉強とかないと……
今日は ちょっと1人で
遊んでよ…」
えこ ぶ——っ」
ヒロシ じゃ 終わってから
遊んであげるからね」
えこ 携帯は常に
携帯してくださいっ」
——ここ4コマ省略をします——
—— まんがじゃぽん
昔ばなし
—— 携帯桃太郎は
鬼退治に向かう途中
携帯犬に出会いました)
携帯猿にも
会いました)
携帯キジにも
会いました)
そして鬼ヶ島)
うおーっ
桃太郎さん
わしらの負けじゃあっ
わしら全員
携帯してくだせーっ」
携帯桃太郎 いえ…ぜひ
携帯させてください…」
だって携帯は…
携帯されなく
なったら
終わりですからっ
——『090えこといっしょ。』2巻25〜26ページ
(亜桜まる/講談社 少年マガジンCOMICS)


定義重要度

寓言は、文のなかに短い「たとえばなし」を入れるというレトリックです。つまり、作品のなかに独立した1つのストーリーがあって、その話によって何かを伝えようとするレトリックです。


効果

効果1親しいことをあらわす

「寓言」をつかって表現することによって、いままでよりもカンタンで親しみやすいものにできます。
:日常的、平常、日ごろ、親しみ、うち解ける
効果2「たとえばなし」に置きかえて表現することで、目につく表現になる

「たとえばなし」は、メインのストーリーとは独立したものです。なので「たとえばなし」は、メインから一線を画したものになります。その意味で「たとえばなし」として扱う部分は、聞き手=読み手の注目を集めやすくなるといえます。
:置きかえ、ズラす、転移、移しかえ、目につく、目にとまる、着目、着眼、目をやる
効果3「教訓」や「忠告」をいうメッセージを込めることができる

「たとえばなし」は、その中にメッセージが含まれています。このメッセージというのは、「教訓」のようなものが多くなります。また何か「宗教」を説くとき、この「たとえばなし」は大きなはたらきをします。ほかには、「政治」の方面でも活躍することができます。
:教訓、忠言、いましめる、さとす、教育、指導、助言、道徳、宗教、政治、治める、統治
効果4諷刺をする

また「たとえばなし」を使うことで、だれかを諷刺をすることもできます。「たとえばなし」という手段をとるので、間接的に相手を攻撃することができるというわけです。
:諷刺、とがめる、当てつける、当てこする、諷する、アイロニー、イロニー
効果5暗示したメッセージを伝える
書き手=話し手は「たとえばなし」を使って、何かを伝えようとしているはずです。また読み手=聞き手も、そこから何かを読みとろうとします。ですので「たとえばなし」を使うことで、オモテに現れない「暗示」したメッセージを交換することができます。
:ほのめかす、におわせる、示唆、暗示

使い方
使い方1エピソードの組みいれ

話のメインから一度はずれて、エピソードを組みいれます。
:文中、挿話、エピソード
使い方2伝えたいコトを「たとえばなし」を結びつける

たしかに「たとえばなし」は、メインのストーリー「そのまま」ではありません。ですがメインのストーリーと何か結びつきを持たなければなりません。
:関係、関連、関わる、関する、結びつく、つながる、類似性、似る、類似、相似、類する
使い方3なるべく具体的なものを使うようにする

「たとえばなし」は、その名の通り「たとえ」です。そして「たとえ」を使ったばあいには、「あいまいで抽象的」な表現を、「くっきりした具体的」なカタチにかえることになります。ですので、「たとえことば」をつくるときには、いままでよりも具体的な表現をとるのがふつうです。
:具体化、具体的、具体へ、便宜、好都合、有益、便益、利便

注意

注意1遠まわしな表現にも限度がある

「たとえばなし」は、メインのストーリーを中断して挿入されます。そのため「たとえばなし」をつかうことは、横道に進むのと同じことです。なので使いかたによっては、読み手に負担をかけることになりかねません。
:遠回し、持って回った



例文を見る例文を見る(末尾)

引用は、『090えこといっしょ。』からです。

で。
主人公は、「えこ」。

「えこ」は、人間のカタチをしています。ですが、れっきとした「携帯電話」です。アタマの横から、アンテナがのびる。耳のヨコでしゃべったら、電話してきた相手に話をすることもできる。そのほか、いろんな「携帯」っぽい機能をもっています。

なお。「えこ」は自分のことを「ロボット」と呼ばれるのが大嫌いです。「携帯電話」であるということに、なにかプライドがあるらしいです。

そして。
その「えこ」という「携帯電話」の持ち主が「ヒロシ」。はじめて買った携帯電話が「えこ」だったこともあって、「えこ」(という現代の科学ではムリっぽい存在)を、あまり気にしていないみたいです。

しかし。
「えこ」は、あくまで人間のカタチをしています。なので、あの大きさで「携帯」するのにはムリがあります。なので「携帯」といっても、そばを歩いているだったりします。

では。もし「だれにも携帯されなくなったら…」。そんな「えこ」の不安をあらわしたような、テレビの番組が出てきます。タイトルは、「まんがじゃぽん昔ばなし」。

引用するには文字があまりに多いので、ところどころ省略しましたが。ようするに、
だって携帯は…
携帯されなく
なったら
終わりですからっ
ということ。「えこ」にとって、いちばん大きな心配ごと。それが、この「もしも携帯されなくなったら…」というものだということです。

そして、それを表すときに「寓言」を使っているのがポイントです。



レトリックを深く知る

深く知る1関連したレトリック用語との関係
「グループ」の外にあるレトリック用語との関係

2つ以上の単語が結びついて、ひとかたまりとして扱われるもの。そういったレトリック用語を、3つの〈グループ〉に分けてみました。

〈「ことわざ」グループ〉 〈「格言」グループ〉 〈「慣用句」グループ〉
あてはまる
レトリック用語
ことわざ(adage)
寓言(parable)
寓話(fable)
格言(maxim)
金言(gnome)
箴言(proverb)
警句(aphorism)
故事成語(-)
慣用句(collocation)
あいさつことば(-)
決まり文句(cliche)
 
話し言葉として使いやすいか?
本来のモノとは関係ないことを引きあいに出しているか?
古くから伝わっている言いかたか?
具体的な例を示しているか?
起源をたどることができるか? どちらもある
教訓のように行動の基準となるか?
何か主張したいときに根拠となるか?
決まり文句は長いものか?
諷刺や皮肉をもっているか?
の記号は、サイト作成者がもっているイメージで勝手につけました)
といった具合に、まとめることができると思います。


「グループ」の中にあるレトリック用語との関係

上の表にも書きましたが。
「寓言」と「寓話」と「諷喩」の3つは、同じ〈グループ〉にまとめることができます。ナゼかというと、「寓言」や「寓話」は、「諷喩」がさらに大きくなったものといえるからです。

では、どのあたりが似ているから〈グループ〉としてまとめることができるのかというと。
表面にあらわれている「たとえばなし」のウラに、暗示している部分が隠れている。その部分が「寓言」「寓話」「諷喩」は一致しているからです。

なので、「隠喩」→「諷喩」→「寓言」→「寓話」という順番で、たとえられている文が長くなる。そのように、いうことができます。


「諷喩」についての考えかた

すぐ上でも書いたように。
レトリックについて考える人は、一般的には「寓言」と「寓喩」というレトリック用語を、「諷喩」と結びつけます。つまり、「諷喩」が大きくなったものが、「寓言」「寓喩」とする考えかたです。このサイトでも、そのような立場で解説しています。

ですが。なかには、このようには考えない立場もあります。
では、どのように考えるのかというと。「寓言」「寓喩」の2つは、「諷喩」とは別のモノだと理解する。と、そういった立場のヒトもいるのです。

そういったわけなので。
なぜ、このような違いが出てきたのか、短く書いておきます。

まず、歴史的に見てみると。
はじめは「寓言」「寓話」の2つは、しっかり「諷喩」とは区別されていました。ですが「諷喩」が勢力を伸ばしていった結果、「諷喩」というレトリック用語でもって「寓言」や「寓話」のことも意味するようになりました。——とまあ、そういった流れになっているワケです。

ですので。
レトリック用語を、もともと使われていた方法で使おうとすれば。「寓言」「寓話」というものは、「諷喩」とは関係ないことになります。

けれども。
そのあとに積み上げられた、レトリック用語の発展のほうを重く見れば。「寓言」「寓話」というものは、「諷喩」と結びつきをもったものだということができます。

そのような、考えかたの違いはありますが。
諷喩」と「寓言」とを別のレトリックだ、見ても。逆に、似かよったレトリックと考えても。
どの原理に目を向けると、「諷喩」と「寓言」「寓話」とは同じものだということは確かです。



レトリックの呼び方

呼び方4 寓言
使い方3 寓喩・寓意・たとえ話
このサイトでは、「諷喩」と「寓言」と「寓話」とを分けて考えています。ですが実際のところ、どこらへんを境界として分けるのかという点については、ハッキリ示すことはできません。このことは、上にも書いたとおりです。そのため、残念ながら「諷喩」「寓言」「寓話」という3つについての扱いについては、かなり微妙です。一致した考えかたが見あたません。



関連レトリック

直喩隠喩諷喩提喩換喩成句・イディオム、寓話、格言、金言、箴言警句、故事成語、慣用句、あいさつことば、決まり文句・クリシェ、なぞ

参考資料

●『レトリックと文体—東西の修辞法をたずねて—』(古田敬一[編]/丸善)

この本に記載されているうちで、紹介したいのは[英詩のレトリック(湯浅信之)]の章です。オススメだということはたしかなのですが、とても残念なことに。この本は「寓言・寓意・諷喩・allegory・parable」の区別をする規準がよく分かりません。「寓言」と考えられるものを「寓意」といったり。そうかと思うと、「諷喩」の解説をしているのに「寓意」と呼んでいたり。まあ、そのへんのレトリック用語の使いかたが気にならないというヒトにはオススメです。
●『日本語の文体・レトリック辞典』(中村明/東京堂出版)
この本は、「寓言」について並はずれた定義をしています。なにか並はずれているかというと、その項目の数。「寓言」「寓喩」「アレゴリー」「寓意」「譬え話」と、5個に分類してあるのです。たしかに、この5つの違いについては解説が書いてあります。ですが、そのような違いを解説してある本は見たことがありません。そのあたりを考えると、ちょっと平均的とはいえない用語説明だと思います。でも、参考になることはたしかです。
●『文学修辞学—文学作品のレトリック分析—』(H.ラウスベルク[著]、萬澤正美[訳]/東京都立大学出版会)
とことん詳しく書いてある本が必要なヒトは、これを読むことになります。[§432]のあたりに書いてあります。ですが、かりに初心者が読んだら「意味不明」です。私(サイト作成者)が読んでも「意味不明」です。けれども、日本で出版されている本のうちで「寓言」をくわしく書いてある本は、コレになります。



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