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列挙法 れっきょほう enumeration
——『星は歌う』1巻139〜141ページ(高屋奈月/白泉社 花とゆめCOMICS)
千広 怒ってる?」
サクヤ 怒ってなんか ないよ
あたしも かなちゃんも
お互いに 勘違い…
してて
それで迷惑 かけちゃて…」
でも
…どうして 勘違いに
付きあって くれたの…?
どうして
〝彼氏か?〟って
きかれた 時…」
千広 何がいい?
——(中略)——
何だったら いい?
知りたいんだろ?
俺のこと
何だったら 満足する?
俺は
自分以外なら
なんでもいいよ」
遠い親戚でも
生き別れた兄妹でも
時空を越えてきた恋人でも
幽霊でも 魔法使いでも
宇宙人でも
星の使いでも

なんでもいいよ なんだって」
——『星は歌う』1巻139〜141ページ
(高屋奈月/白泉社 花とゆめCOMICS)


定義重要度

列挙法は、あるものごとの要素にあたることばを、つぎつぎと並べるレトリックです。言いかえれば、ひとつの対象を描き出すために、いろいろな方面からさまざまな言いかたを持ち出すものです。

並べられたひとつひとつの言葉は、強調する表現ではありません。しかしそれが連続して並べられるために、表現を強調することになります。


効果

効果1同じことに何度も説明を加えることで、具体化してインパクトを与えるタイプ

あるモノゴトについて、いくつものことばを使って説明する。そのことによって、読み手(聞き手)に与える印象を強くすることができます。
:具体化、具体、具象、具体的、印象、感受、共感、同感、焼き付ける
効果2雑多でバラバラに並べたてることで、こだわりを示すタイプ

しかしながら。あるモノゴトに関連することであったとしても、それをバラバラに脈絡なく並べたとしたら。たしかに、上に書いたような相手の理解を助ける表現とはなりえません。ですが、情報を送る立場にある人が、そのことについて強いこだわりをもっているという状況をあらわすことができます。
なお。
「列挙法」を使うことによる「効果」は、かなりいろいろなパターンに分かれます。
ですので、あらためて下のほうで細かい解説をしていきたいと思います。

使い方
使い方1ことばを積み重ね、畳みかける

ある1つのことを言うために、その下位となる同格のことばを、いくつも積み重ねる。上位にある1つの概念を言うために、その下位にあたることばを畳みかけていく。それが、「列挙法」のスタンダードな使いかたです。
:(語や観念を)くり返す、重ねる、重なる、たび重ねる、反復、重複、積みあげる、積もる、積む、盛る、堆積、集積、累積、山積み、山積、積みかさなる、積みかさねる、折りかさなる、折りかさねる、重なりあう、幾重、重畳、重層、層
使い方2いくつものことばを、数多くの並べ立てる

べつの言いかたをすれば。意味やイメージとして同格のことばを、次から次へ並べ立てる。同等のことばを、数多く並べていく。それが「列挙法」だということもできます。
:多い、沢山、余計、多分に、うんと、たんと、しこたま、たんまり、がっぽり、どっさり、ふんだん、わんさと、ごろごろ、うようよ、うじゃうじゃ、もじゃもじゃ、盛りだくさん、ぎょうさん、少なからず、鈴生り、多々、数々、数多、幾多、莫大、膨大、降るほど、おびただしい、夥多、過多、無数、無尽、無尽蔵、尽きせぬ、枚挙にいとまがない

注意

注意1リズムへ配慮して、ことばをテンポ良くリズミカルに並べる必要がある

「列挙法」のようにことばを並べるという言いまわしをするときには、注意しておく点があります。それは、「どんなことばを使うか」と「どのような順番で使うのか」というところです。そしてそれを決めるのは、「列挙法」を使う人の「リズム感」だということができます。丸谷才一はこのことについて、「(列挙法は)筆者の耳のよさによつて成立してゐることはやはり念を押しておかなければなるまい」と述べています。
:調子、加減、歩調、足並み、ペース、息、成りゆき、いきおい、はずみ、調べ、リズム、リズミカル、律動、口誦、読み上げる、音読、朗読、唱える、読誦、朗誦
注意2いい加減に使うと、ぎこちない文章だという印象を与えやすい

「列挙法」は一見すると、「ことばを並べているだけ」と思われがちです。そのため、考えなしに書いた下手な文だという印象を与えることもあります。
:稚拙、まずい、つたない、拙劣、へたくそ、たどたどしい、ぎこちない、幼稚、未熟、不慣れ、不器用、ぶきっちょ、不細工、苦手、不得手、不得意
注意3アクの強い、くせのある言いまわしになりやすい
「列挙法」は、使うと目立ちやすいレトリックです。つまり、「列挙法」を使って書いているということが、かんたんに分かるものです。そのため、あまり多く使うと、すぐに読み手(聞き手)は気がつきます。そして、「列挙法っぽい言いまわしが、何回も出てきている」という印象を持たれてしまうことになると思います。その意味で「列挙法」は、アクの強いレトリックだということです。
:アクが強い、ねちねち、くせがある、くどい、長たらしい、しつこい、こってり、執拗



例文を見るその1例文を見る(末尾)

このページの、いちばんはじめの画像は、『星は歌う』1巻から。

主人公は、「サクヤ」。
そして、引用しているこのシーンで「サクヤ」と対話しているのは、「千広」。

この「サクヤ」と「千広」とが、このシーンでどういった関係にあるか。それをサクッとひと言で説明するのは、ちょっと難しいモノがあります。ですので、ちょっと長くなりますが、順を追って物語の流れを書いていくことにします。

「サクヤ」は父親に見捨てられ、従兄(かなちゃん)のもとで暮らしていた。

そんななか、「サクヤ」の誕生日に出会ったのが「千広」。彼は、誕生日に「サクヤ」が帰宅すると、なぜか従兄(かなちゃん)といっしょにいた。そして「千広」は、従兄(かなちゃん)といっしょに「サクヤ」の誕生日をお祝いしてくれた。そして「千広」は「サクヤ」に、やさしい言葉をかけてくれた。

が。
「千広」は、まさに謎の人物。てっきり「サクヤ」は、従兄(かなちゃん)の友達だと思っていた。けれど従兄(かなちゃん)のほうは、「サクヤ」の彼氏だと勘ちがいしていた。だから「千広」は、とつぜん「サクヤ」の家にあらわれて、誕生日のお祝いに参加したということになる。

そんな「千広」の事情を知るために。そして、もう一度「千広」と話しをするために。「サクヤ」は、「千広」を捜しはじめる。

で。
ついに「サクヤ」は、「千広」を見つけ出す。それが、いちばん上に引用したシーンになるわけです。

このシーンで、「千広」が「怒ってない?」と、たずねているのは。ダマすようにして、「サクヤ」の誕生日のお祝いに参加したから。それにたいして「サクヤ」は、自分自身(サクヤ)も従兄(かなちゃん)も、勘ちがいしていたのだから怒ってなんかいない、というような返事をしています。

しかしながら。
つづいて「千広」は、「サクヤ」にたいして非常に冷たいことばを投げつけます。「千広」は、自分自身の正体について「サクヤ」に聞かれると、つぎのように答えます。
千広 何がいい?
——(中略)——
何だったら いい?
知りたいんだろ?
俺のこと
何だったら 満足する?
俺は
自分以外なら
なんでもいいよ」
遠い親戚でも
生き別れた兄妹でも
時空を越えてきた恋人でも
幽霊でも 魔法使いでも
宇宙人でも
星の使いでも

なんでもいいよ なんだって」
…とまあ「千広」は、ただ「サクヤ」拒絶するようにことばを並べます。ここで太字になっているのが、「列挙法」というわけです。

じつは。この引用したシーンは一部で、これには続きがあります。そして、その続きの部分にも、「列挙法」が用いられています。
千広 現実よりかは 面白い」
幻想は
楽しくて 夢があって
希望があって
…〝現実〟は つまらない
… くだらない…
くだらないよ」
これもまた、「列挙法」となります。

でもって、さらに。
この2ページほど先にも、また「列挙法」があらわれます。ですが残念ながら、それについてまで書きおよぶスペースはありません

ですので。
それについては、みなさま『星は歌う』を買ってたしかめてみてください。



例文を見るその2例文を見る(末尾)

——『彼氏彼女の事情』1巻78ページ(津田雅美/白泉社 花とゆめCOMICS)
どうせ私は
へんな女よ

みえっぱりだし
ワガママだし
うそつきだし

計算高いし
強欲だし


さぞがっかり
させたでしょうよ
——『彼氏彼女の事情』1巻78ページ
(津田雅美/白泉社 花とゆめCOMICS)
2つ目の例文は、『彼氏彼女の事情』1巻から。

主人公は、宮沢雪野。高校生。

雪野は、とてつもなく見栄っ張り。学校では優等生を演じているけど、実際は
「上品なワタシ」はただのソトヅラ
—(略)—
ほんとの私は
誰より人に尊敬されたり
アコガレられたり
特別扱いされたり
ちやほやされたり
一番をとるのが好きなだけの

「見栄王」なのです…
と、10ページで言っています(ここで太字にしたところも、「列挙法」になっています)。

それでもって、本題となっている例文のところ。「見栄王」だという正体がバレてしまって大変なことになっているのが、例文のシーンです。
そこで使われているのが、
みえっぱりだし
ワガママだし
うそつきだし

計算高いし
強欲だし
というやつ。
まさに、「列挙法」として例文に使うために書かれたのではないかと思うほど、スマートな「列挙法」です。

念のために、解説しておきます。
この例文での、「上位にある1つの概念」。それは、雪野が自分に対して思っている「見栄王」であるという性格。
そして、この「見栄王」であるということの「下位にあたることば」。それが、「みえっぱり」「ワガママ」「うそつき」「計算高い」「強欲」といった感じで並んでいる。つまり、この並べられたことばが、「見栄王」であることの証拠というわけです。

このように、一つのものを表現するために同じような言葉をいくつも積み重ねていく表現が、「列挙法」になります。

つけ加えておくと。
『彼氏彼女の事情』という作品には、とても多くのレトリックを見つけることができます。レトリックだらけです。



例文を見るその2例文を見る(末尾)

——「ペンギン☆ブラザーズ番外編 3days」『ペンギン☆ブラザーズ』3巻167ページ所収(椎名あゆみ/集英社 りぼんマスコットコミックス)
西崎 俺 今がんがん
身長のびてさー
弁当1個じゃ
ホント全然
たんねーのよ」
夜中とか めきめき
骨のきしむ 音がするんだぜ
『パキッ』って音で、
目が覚めるくらい」
飯島
くすっ)
そんな訳 ないでしょ」
西崎 いや まじ まじ…
 !
笑った!
うわっ 初めてみた!
いつも そーいう
顔してれば
目つき悪いとか
顔が恐いとか
存在が恐いとか
性格悪そーとか

言われなくて すむのに」
(↑悪気なし)
飯島 …………(汗)」
——「ペンギン☆ブラザーズ番外編 3days」
『ペンギン☆ブラザーズ』3巻167ページ所収
(椎名あゆみ/集英社 りぼんマスコットコミックス)
ほかに「列挙法」が使われている例が、「ペンギン☆ブラザーズ番外編 3days」で見つけることができました。
この「番外編」は『ペンギン☆ブラザーズ』(椎名あゆみ/集英社 りぼんマスコットコミックス)の3巻所収です。

で、これは「番外編」ということで、本編の3年前にあたる中学1年生の頃のお話が描かれています。

ここで、3年前の西崎快人は、男子の会話の中で出てきた、
「うちのクラスで ナンバー1の 女子っつったら…」
という質問に対して、
「俺は 飯島豊!」
と答える(163ページ)。でも飯島は、クラスメイトの間では、
「いっつも眉間にシワよせてんじゃん」
「いーっつも ケーベツして目で にらんでんじゃん」
「ぜってー 性格も 悪いって」
というふうに見られている(164ページ)。つまり、飯島についての評判は悪いわけです。

でも西崎は、実際に昼食の時に、学校の屋上でひとり寂しく食べている飯島のところに行って、会話をする。それが、右に引用したシーンになります。

この会話の中で太字にしたところも、「列挙法」になっています。



レトリックを深く知る

●列挙法の「効果」を詳しく見てみる
このページの最初のほうに書きましたが。
列挙法を使うことによる「効果」は、かなりいろいろなパターンに分かれます。

ですので、ここから下では。
大きく2つ、
  • 「具体化したり説明を加えたりすることで、インパクトを与えるタイプ」

  • 「雑多でバラバラに並べたてることで、こだわりを示すタイプ」
というグループに分けて、書き進めていくことにします。
深く知る1効果その1
 ——具体化したり説明を加えたりすることで、インパクトを与えるタイプ


a洪水のようにあふれ出ることばの量感で、読み手を圧倒する
ひとつのことがらに対して、いくつもの表現を積みかさねる。それによって、洪水があふれ出すようなチカラのある表現を生む。そうすると読み手(聞き手)は、圧倒されるような感覚をえることになります。
:存分、十分な、重々、重ね重ね、十二分、ばっちり、存分、たくさん、どっぷり、徹底的、徹頭徹尾、完膚無きまで、至れり尽くせり、豊か、たっぷり、いっぱい、山盛り、うずたかい、豊富、潤沢、満々、なみなみ、くり出す、あふれ出る、あふれる、動員、圧倒、威圧、気圧される、圧力、重圧

bじっくり念入りに書くことで、より具体的に示す
つぶさに詳しく、いろいろな表現を使って書いていく。じっくりと念入りに、いくつもの表現を並べあげる。そのことによって、よりハッキリと具体的に示すことができます。
:念入り、入念、細々、丹念、克明、こと細か、綿密、緻密、細密、じっくり、みっちり、逐一、しらみつぶし、微に入り細にわたり、手を変え品を変え、詳しい、つまびらか、細かい、つぶさに、詳細、詳密、用心深い、抜け目なく

c細かいところにいたるまで説明をほどこして、理解を深めてもらう
ひとつのことがらについて、ひとつの表現にとどめない。細かい部分にまで、丁寧な説明をほどこす。そのことによって、細かい点について深い理解をしてもらえることが見込めます。
:説明、説く、論じる、説きあかす、解説、叙説、詳説、細説、縷説、砕く、かみ砕く、んでふくめる、細部

d多くの言葉を並べることで、本質に迫っていく
ひとつの表現だと、ピッタリあてはまることばがない。そのようなとき、いくつもことばを畳みかけることによって、本質に迫っていくことができます。このパターンは、「類義累積」に近いモノとなります。
:全体に迫る、本質が見える (⇒くわしくは「類義累積」も、あわせてご覧ください。)

eカタログのように順を追って並べることで、理路整然としたものにする
時間の流れに沿って、順番に並べていく。または、動作が行われていく順に並べる。もしくは、手前から順に、だんだんと遠いほうへと筆を進める。そのように、枠組みをもって順を追って述べていくことで、分かりやすい首尾一貫した流れをつくりだすことができます。
:順に並べる、カタログ、陳列する、首尾一貫、一部始終、経過、過程、プロセス、次第、仕儀

fひたすらであったり、ひたむきに向かっているようすをあらわす
あるものごとについて、いろいろなことばを並べる。そのようすは、ものごとにたいする一途さであるとか、一心不乱であるようすなどをあらわすこともあります。
:ひたすら、ひたむき、一途、一筋に、ひとえに、専一、一辺倒、しきりに、せっせと、こつこつ、営々、汲々、あくせく、鋭意、躍起、本気、本腰、真剣、真摯、一心、一心不乱、脇目もふらず、まっしぐら、一意専心、余念がない、無二無三、大わらわ、大車輪、夢中、無我夢中、熱心、熱烈、懸命、一生懸命、死にものぐるい、必死、捨て身

gことばを多く尽くすことで、もっと分かりやすく鮮明に描き出す
ひとつのことについて、いろいろなことばで説いていく。そうするとによって、ものごとをより分かりやすく鮮明に表現することができます。ですので「列挙法」は、よりカンタンに読み手(聞き手)が分かってもらうために有効な手段となります。
:鮮明、はっきり、くっきり、きわやか、さやか、ありあり、あざやか、明瞭、明晰、明白、明々白々、鮮烈、明快、分明、平明、簡明、判然、歴然、歴々、顕著、顕然、あらわ、隠れもない、知れた、画然、截然、掌を指す、手に取るよう

h多くのことばを積みあげることで、その部分を際立たせる
あるものごとに限って、いくつものことばを積みあげていく。ほかのものごとについては、ひとつの表現で済ましているのに、そのものごとについてだけ多くのことばを使う。それはつまり、ほかのものごととは違った、特別の扱いをしているということです。そのことから、あるものごとを他のものごとよりも際立たせたいときににも、「列挙法」を使うことができます。
:際立つ、まさる、立ちまさる、すぐれる、長じる、たける、高まる、高める、しのぐ、凌駕する、ぬきんでる、ずばぬける、目立つ、引き立つ、水際立つ、映える、かわりばえ、特出、卓出、卓絶、卓抜、卓越、超越、優越、超絶

iことばを段取りにしたがって並べることで、手際の良さをあらわす
ものごとを順番どおりに、段取りにしたがって並べていくていく。その並べるようすは、手際の良さであるとか機敏なかんじをあらわすことがあります。
:テキパキ、手早い、身軽い、軽快、活発、きびきび、はきはき、敏、敏捷、機敏、電光石火、さっと、ひょいと、ひらりと、生き生き、清新、ヴィヴィッド、生新しい、みずみずしい、新鮮、生鮮、フレッシュ、ぱりっと、明るい、のびのび、晴れ晴れ、明朗、暢達、生彩



深く知る2効果その2
 ——雑多でバラバラに並べたてることで、こだわりを示すタイプ


a沢山のことばを次々と発することで、まくし立てる動作をあらわす
とくに会話で話し手が、ひとつのものごとについて、どんどんと畳みかける。そのような動きをしたときには、矢つぎばやにしゃべったり、まくし立てたりするようすをあらわすことがあります。
:畳みかける、しゃべり立てる、しゃべりまくる、しゃべくる、言いまくる、まくし立てる、舌が回る、口を叩く、口に任せる、口が酸っぱくなる、四の五の言う、くだを巻く、ひねくる、ご託を並べる、言いすぎる、過言、多言、贅言、片っ端から、次々と、相次いで、続けざま、立てつづけ、矢つぎばや、続々と、絶えず、止めどなく、間断なく、のべつ幕なし、のべったら、ずるずる、だらだら、ずっと、ずうっと、どんどん、ひっきりなし、引きも切らず、脈々、綿々、連綿、縷々

bことばが手当たり次第に寄せ集められた、という印象を与える
とりたてて順番を考えることなく、いろいろなことばが並べられたばあいには。それぞれのことばが、片っ端からかき集められたものであるという印象を与えます。
:かき集める、集める、集まる、寄り集まる、寄せあつめる、寄せあつまる、取り集める、たかる、かき寄せる、結集、集結、集合、収集、持ち寄る、かり集める、群がる、群れる

cとくに数多くのことばを続けることで、裏づけがないという感じを出す
これは、「列挙法」にカテゴリーされるもののなかでも、とりわけ数多くのことばを続けるばあいのことです。そのばあいにのように、はるかに上回るような無数のことばが続けられたとき。続いているそれぞれのことばは、なにか意味があって並んでいるという印象を与えません。むしろ、むやみやたらと手当たり次第に並べられたと感じられることになります。
:過度、過分、極度、過当、行きすぎ、度外れ、桁外れ、桁違い、段違い、圧倒的、飛びきり、極端、余りに、無茶、無茶苦茶、滅茶苦茶、めったやたら、むやみ、やたら、むやみやたら、闇雲、みだり、底抜け、途方もない、とてつもない、突拍子もない、後先かまわず、手当たり次第

d何度も同じようなことをくり返すことで、こだわりや執着をあらわす
ひとつのものごとについて、何度も何度も同じようなことをくり返す。そのような表現は、そのこのことに対する執着であるとか、こだわりの強さを映しだしたものとなります。
:執着、執心、執念、信念、こだわる、なずむ、拘泥、固執、妄執、頓着、確執、固持、粘着的、へばりつく、こびりつく、固着、膠着、癒着、凝着、張りつく、粘り強い、しぶとい、ねちっこい、ねちねち

eまとまりなく並べることで、猥雑さや雑然としたようすを描き出す
ごちゃごちゃとして、入り乱れている場面を描きたいというばあい。「列挙法」で、その場景にあるバラバラで雑多なものごとを、ひとつひとつ並べていくことで対応することができます。
:猥雑、冗漫、複雑、煩雑、煩わしい、うるさい、煩瑣、煩多、やっかい、手数、手がこむ、冗長、雑然、雑多、雜、乱雑、ごっちゃ、ごちゃごちゃ、ごしゃごしゃ、ごたごた、ごった、ごてごて、乱脈、紛然、紛々、撩乱、無秩序、蕪雑、しどろ、鼎のわくよう、蜂の巣をつついたよう、芋を洗うよう、押すな押すな、押し合いへし合い、騒ぎ、はしゃぐ、騒ぐ、ざわつく、ざわめく、さざめく、騒ぎ立てる、立ち騒ぐ、空騒ぎ、大騒ぎ、どんちゃん騒ぎ、お祭り騒ぎ、バカ騒ぎ、底抜け騒ぎ、らんちき騒ぎ、ふざける、沸く、沸き立つ、沸き返る、沸き上がる

fひしめいている人や物を示すことで、栄えているようすを映しだす
すぐ上の項目に書いた「雑然」というのと、似ていますが。人や物が賑わって、ごった返しているといった「繁盛」とか「繁栄」といったようすを映しだすこともできます。
:繁盛、栄える、賑わう、賑わす、流行る、富む、富ませる、繁栄、栄華、ひしめく、混雑、込む、込みあう、立て込む、ごった返す、ごたつく、雑踏、人込み、どさくさ、右往左往、輻輳、ラッシュ

gバラバラに並べることで、かき回され混乱しているようすをあらわす
さまざまなものごとが、バラバラに無秩序な広がりをみせているとき。そのバラバラなようすを次々と列挙していくことで、統一性のない入り乱れたようすを描写することもできます。
:混沌、一緒くた、まぜこぜ、混然、不ぞろい、ばらばら、むら、まちまち、区々、ちぐはぐ、不規則、不統一、支離滅裂、めちゃめちゃ、混乱、乱れる、乱す、入り乱れる、かき回す、ひっかき回す、攪乱、錯乱、壊乱、紊乱、混迷

hあれもこれも欲張って書くことで、はったりや大げさであることを示す
あれもこれも必要以上に、あるものごとについての表現を書き出す。その態度は、大げさで誇張された物言いであるという印象を与えます。また時には、でたらめなウソ臭い表現であるということを示すこともあります。
:あれもこれも、あれこれ、かれこれ、これかれ、なにくれ、なにかや、欲張った表現、大げさ、仰々しい、事々しい、大仰、ぎょうさん、大層、ご大層、はったり、針小棒大、でたらめ、誇大

i相手のことばを聞かずに冷静さを欠いている、という状況をあらわす
相手のことばを聞かずに、一方的にまくしたてる。まるで機関銃のように、ことばを連射する。それはウラを返せば、冷静さを欠いていているということでもあります。
:激情、情の激した、気持ちの高ぶり、感情の高まり、あせる、焦れる、気を揉む、急く、急きこむ、逸る、焦心、焦慮、焦燥、矢も楯もたまらず、手に汗にぎる

jあわただしい様子や、まとまりのない様子をあらわす
アタマの中で、ちゃんと整理をしてから話しをする余裕がないとき。つまり、忙しかったり焦っていたりするとき。まとまりなく、いくつものことばを並べたてることがあります。
:忙しい、あわただしい、せわしい、せわしない、気ぜわしい、せかせか、こせこせ、せせこましい、気短、せっかち、性急、おいそれと、押っ取り刀、多忙、繁忙、繁劇、怱忙、倉卒、多事、多端、多用、繁用、目が回る、きりきり舞い、てんてこ舞い、猫の手も借りたい



深く知る3効果その3——その他
深く知る1ことばを奇妙な順に並べることで、コミカルな言いまわしを作る
ふつう考えられるような常識どおりの並べかたをすれば、「列挙法」では上に書いてきたような効果が期待できます。ですが、そのような常識にとらわれない自由な並べかたをしたばあいに。時として、おかしみを持つコミカルな言いまわしを生みだすことができます。
:(並べ方次第で)おかしみ、ユーモラス、おかしい、滑稽、コミカル、奇異、ヘン、奇妙、妙、珍妙、珍奇、型破り、目新しい、奇抜な、奇警、突飛、奇矯、奇想天外、特異、異様、不自然、けったい、へんてこりん



深く知る4他のレトリックとの関係
深く知る1「漸層法」との関係
漸層法(広義の)」というレトリックがあります。これは、だんだんと程度が強まるように(または弱まるように)ことばを並べる、というものです。

なので、ことばを並べるという意味では「列挙法」と似たものといえます。この「漸層法」と「列挙法」との違いについては、「漸層法(広義の)」の項目を参照してください。

深く知る1「点描法」や「敷衍」との関係
また。
点描法」というレトリックと、それから「敷衍」というレトリックがあります。これらのレトリックについては、分類の方法によっては「列挙法」の一部とする考え方もあります。

くわしくは「点描法」と「敷衍」の項目を参照してください。

深く知る1「列叙法」との関係
列叙法」というレトリックがあります。「列挙法」は、この「列叙法」というグループに含まれるレトリックだと考えられます。

くわしくは「列叙法」のページを参照してください。

なお。
列叙法」のページに、「列叙法」と「列挙法」との違いについての疑問点を書かせていただきました。ごく一般的な方には、どうでもいいようなことが長々と述べてあります。

そういったわけなので、シロウトのたわごとに耳をかたむける余裕のある方は読んでみてください。




レトリックの呼び方

呼び方5 列挙法・列挙
使い方2 羅列
※「羅列」については、「列叙法(accumulation)」の意味で使うこともあります。


関連レトリック

列叙法漸層法(広義の)漸層法(狭義の)類義累積点描法敷衍多種列挙

参考資料

● 『レトリック事典』(佐藤信夫[企画・構成]、佐々木健一[監修]/大修館書店)

この本では、かなり細かい分類がされています。具体的に言うと、《分解列挙》《多面列挙》《多種列挙》《各項各様》《準備列挙》《要約列挙》《前項列挙》《名詞形容詞句列挙》《順位づけ列挙》…。とまあ、いろいろな名前が挙がっています。
●『文章読本 改版 (中公文庫 ま17−9)』(丸谷才一/中央公論社)
この本を書いているのは、小説家の丸谷才一氏。そんなわけで、学者とはちょっと違った視点から書かれています。なお「列挙法」というレトリックは、この本では「羅列」という名前で扱われています。


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