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循環論法 じゅんかんろんぽう diallelon
>——『氷菓』1巻113ページ([原作]米澤穂信・[漫画]タスクオーナ</角川書店 角川コミックス・エース)
五反田 今は古典部のことを
言っているのです
部活動ですから
活動しなければいません」
折木 それはいいだろう
だが目的がない」
五反田 いえ 目的もあります
十月の文化祭に
文集を出します」
折木 文化祭?」
文集ってのは普通
活動の結果であって
目的じゃないんじゃないか?」
五反田 いえ結果としての文集を
目的にしていれば、
それを目的
結果を作るという
目的ができます」
折木 …… は?」
五反田 ですから
結果目的にすれば――
それを目的にして
結果
を作ろうとするでしょう?」
折木 ううむ?……」
これは
トートロジー
だよな?)
——『氷菓』1巻113ページ
([原作]米澤穂信・[漫画]タスクオーナ
/角川書店 角川コミックス・エース)


定義重要度

循環論法は、ある証明したいものごと(A)の根拠を示すときに、その証明することがら(A)を利用するもの(A=A)です。「トートロジー」の一種です。


効果

効果1一見すると筋の通っているようなことばを使って、はぐらかす

すぐ下のに並べられたキーワードを見ると、「循環論法=悪い」という印象を持つかもしれません。というか、そんな印象を持って当たりまえです。たいていの場合この「循環論法」は、人をおとしめたり誤魔化したりといった「よくないこと」ものです。
:はずらかす、だます、だまくらかす、だましこむ、ごまかす、はやかす、まやかし、くらます、おとしいれる、かつぐ、まどわす、たぶらかす、ちょろまかす、いいふくめる、あざむく、欺瞞、いんちき、ペテン、一杯食わせる、芝居をうつ、煙にまく、詭弁、話をそらす
効果2実際に正しいかに関係なく、相手を強く説得することができる

ですが、この「循環論法」。これは、悪いだけのものではありません。注意深くアンテナを立てておくと、暮らしていく中で、かなり耳にすることがあるものです。というのは、日常会話では「正しい論証」などというものは求められないからです。くわしくは、下の深く知る1に書いておきました。
:説く、くどく、説きふせる、言いこめる、説伏

使い方
使い方1「Aであるならば、Aである」というタイプ
第1のタイプは、「AならばA」というものです。このサイトでは、「トートロジー」のページにくわしく書いてあります。
使い方2「AはBである。なぜならBはAだからである」というタイプ

第2のタイプは、「AはBである。なぜならBはAだからである」といったもの。これも「循環論法」です。なぜなら、真偽が不明なものを根拠として、論証しようとしているからです。たとえば、「AがBである」ことを示すために、「BがAである」ことを理由とするのが、これにあたります。



例文を見る例文を見る(末尾)

例文は『氷菓』1巻から。

このシーンでの登場人物は2人。主人公の折木(折木奉太郎)と、ヒロインの千反田(千反田える)。両者ともに、高校の古典部に所属している。

折木は、時間の浪費となることは、興味がもてない。折木の合いことばは、「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら、手短に」(8ページ)というもの。

千反田は、文化祭で文集を発行したいと思う。そして、それを折木に相談してみる。すると折木は、いつものように「文集をつくるのは時間がかかる→浪費→やりたくない」と考えてしまう。

そんな折木に、文集を発表するのを賛成してほしい。そのために、千反田が折木に説得している。それが、引用した場面です。

この引用した部分が、なぜ「循環論法」なのか。それは、
折木 これは
トートロジー
だよな?)
と書いてあるからです。このページで扱っている「循環論法」というのは、「トートロジー」の一種です。なので、この場面を「トートロジーだ」と表現するのは、正しい受けとめかたです。

では具体的に、どの部分が「循環論法にあたるのか、見てみることにします。
五反田 いえ結果としての文集を
目的にしていれば、
それを目的
結果を作るという
目的ができます」
となっています。これは、使いかたのうち
使い方2「AはBである。なぜならBはAだからである」というタイプ
に当てはまります。このシーンの「結果」をとおいて、「目的」をとする。そうすれば、「循環論法」であることが見えてきます。つまり、
」を「」にしていれば、「」は「」をつくる
ということです。

また、もう1つ。
五反田 結果目的にすれば――
それを目的にして
結果
を作ろうとするでしょう?」
というもの。こちらのセリフも、
使い方2「AはBである。なぜならBはAだからである」というタイプ
となっています。こちらも、上に書いたのと同様に、
」を「」にしていれば、「」は「」をつくる
となっています。



レトリックを深く知る

深く知る1「循環論法」がを「正しく」使われるとき。

「循環論法」。それは一見すると、まやかしの詭弁で使うものだと思われがちです。ですが、この「循環論法」を使うメリットは、ちゃんとあります。そのメリットというのは、次のようなものです。

人を説得したけれども、正しい説得の手順をふむと、時間がかかりすぎる。そこで、手短にシンプルに説得できる方法が求められる。そこで「循環論法」を使うことができます。なぜなら「循環論法」は、説得が正しいものであるということを「感覚的に」受けとることができるからです。

ふだん暮らしている中で、理屈に合っているかどうかを「厳密に」証明しながら会話を交わしてる人はいない。自分の考えを伝えるときには、かいつまんで要点だけを話す。そのときに「循環論法」のような方法をとったとしても、あながち責められるものではありません。

深く知る2「循環論法」と「トートロジー」との関係

「循環論法」は、「トートロジー」の一種だということができます。このページとあわせて、「トートロジー」のページも、ごらんください。





レトリックの呼び方

呼び方 循環論法
呼び方 循環論証


関連レトリック

トートロジー反復法畳句法畳語法隔語句反復復言法類義累積回帰反復首句反復結句反復首尾語句反復前辞反復おうむ返し異義復言同綴同音異義類音語反復疑惑法継起的音喩

参考資料

●『レトリック事典』(佐藤信夫[企画・構成]、佐々木健一[監修]/大修館書店)

この本が「循環論法」の説明をしているのは、2ページ程度です。けれどもレトリック関係の本では、かなり手厚く解説しているということができます。多くの紙面をさいて説明しているのは、おそらく論理学関係の本ではないかと思います。ですが、とりあえず今のところ、このサイトを作るために論理学関係の本を読むには至っていません。


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