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照応法 しょうおうほう ——
——『時の輝き』[上]59ページ[下]82ページ(折原みと/講談社 コミックスデザート)
——[上](59ページ)——
恭ちゃん なあ由花
生命(いのち)って
その人だけのモノだけど
その人かぎりの
モノじゃないよ
それを受けついでいく
人がいれば
その生命(いのち)は
いつまでだって
生きているんだよ」



——[下](82ページ)——
峻一 このまま 死んじまったら
オレの人生って
なんだったんだって
カンジだよな」
由花 シュンチ! ちがう!
絶対に そんなことにはならないよ
恭ちゃんが
あたしに教えてくれたの
“生命(いのち)”って
その人かぎりの
ものじゃないって
それを受けつぐ人がいれば
生命(いのち)は
ずっと生き続けて
いくんだ…って」
——『時の輝き』[上]59ページ[下]82ページ
(折原みと/講談社 コミックスデザート)


定義重要度

照応法とは、同じような内容の文を、間をおいてくり返すレトリックです。言いかえれば、ワザと物語の前後に似たような内容のことを配置するものです。


効果

効果1前と後に似たフレーズが置かれるで、おたがいに呼応する

同じような言葉がくり返されるため、おたがいに呼応するようにような表現となります。
:呼応、相照らす、対照、コントラスト、対置、対峙
効果2微妙な変化を浮かび上がらせることができる

ふつう、文の最初と最後にまったく同じものを配置することはしません。多くのばあい、「前の文」と「後の文」とで似たフレーズを使います。そのことで、「前の文」と「後の文」との微妙な違いを浮きあがらせることができます。
:微妙、少し、小さい、小さな、ちょっと、僅か、細かい、細やか、微少

使い方

使い方1類似した文を、間隔をおいてもう一度出してくる

似た内容の文を、あいだをおいてもう一度登場させる。もちろん「同じ文」をくりかえしても構いません。ですが前に出てきた文と似ていれば、必ずしも全く同じ文である必要はありません。
:もう一度、ふたたび、再度、また、重ねて、更に

注意

注意1あまりに技巧的だと、かえって読者の反感をまねく

技巧的にすぎると、読み手(聞き手)が強引なものと受けとってしまうこともあります。
:技巧的、テクニック、演技



例文を見るその1例文を見る(末尾)

引用は『時の輝き』から。

主人公は、神崎由花。

彼女は将来、看護婦になることを目指している。それで今は、病院実習として病院での看護婦の仕事をしている。そんな中で入院している人の中に偶然、守谷峻一という男の子を見つける。彼は、由花が中学時代に片想いをしていた相手だった。

そして、看護の実習をしていくうちに、同じ研修中の看護婦をしている恭ちゃんから、[上]に書いたようなセリフを聞く。そして由花は、その言葉に強く心を動かされる。

だが一方で、峻一の病状は日に日に悪化していく。そこで由花は、[下]に書いたような言葉を、峻一へ語る。

それで、どこの部分が「照応法」なのか。それは、この[上]のシーンと[下]のシーンが呼応しているという点です。つまり、引用した部分の全部が「照応法」にあたるわけです。



例文を見るその2例文を見る(末尾)

もう1つ、「照応法」の例。

『パフェちっく!』1巻(ななじ眺/集英社 マーガレットコミックス)の第1話から。

主人公は、「亀山風呼」。
平和な平和な青い空
約50世帯がくらす ここ「スイートハイツ」で
これまた平和にすごすあたし   (6ページ)
第1話のはじまりは、こんな言葉からになっている。

そんな彼女の暮らす「スイートハイツ」に、新しい男の子が2人、引っ越してくる。そして風呼の生活に変化がはじまる。その様子を、風呼はこんなふうに言う。
平和な
青い空だったんだ
たしかに
きのうまでは  (34〜35ページ)
第1話の最後は、こういう言葉でしめくくられる。「平和な青い空」という表現が、第1話の最初と最後で使われていることになります。

これは「照応法」とみていいでしょう。似てはいるけれども少し違った言葉が配置され、しかもその「少しの違い」によってインパクトをが出されているからです。



レトリックを深く知る

深く知る1ほかのレトリックとの違い
深く知るa「照応法」と「伏線」との違い
「伏線」では、前に置かれた(伏線として使われる)文は、いわば捨て石です。つまり「伏線」は、後ろの文をより印象的にするための手段にすぎません。

これに対して「照応法」は、前の文と後の文が同じレベルで置かれます。

深く知るb「照応法」と「反照法」との違い
「照応法」が、作品全体で行われるばあい。言いかえれば、作品の「一番最初」と「一番最後」で行われるばあい。これは、「反照法」というレトリック用語にあてはまることになります。

ですので、そちらもご参照ください。

深く知る2「照応法」と「照応」との関係

「照応法」ではなく、「照応」というレトリック用語(?)があります。

これは、曲亭馬琴が「稗史七則」の1つとして挙げているものです。つまり、曲亭馬琴が「小説を作るときには、こんな事を気をつけるように」ということを7つ書いているのですが、その1つが「照応」というわけです。

で。
「照応法」と「照応」の関係はどうなっているのか。つまり、同じ意味の用語なのか、それとも異なることを示した用語なのか。そのあたりは、今のところ良く分かりません。申し訳ありませんが、今のところ「保留」ということにしておきます。




レトリックの呼び方

呼び方 照応法


関連レトリック

反照法回帰反復懸延法伏線誤解誘導

参考資料

●『日本語の文体・レトリック辞典』(中村明/東京堂出版)

「照応法」について、一番くわしく書いてある本。いろいろな例文も載っているので、分かりやすいと思います。
●『古典文学レトリック事典』(國文学編集部[編]/學燈社)

「照応法」ではなく「照応」について書かれた本。〈「客伝二集〔桂窓〕評」への馬琴答書によれば、「照応」は「前に約束ある事或は前に伏線あり後に至で照らし合する趣向をいふ」。〉と説明があるります。なので、「照応法」と「照応」とは、似たような用語だとは思います。


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