このページは、 のページにあったものを引き継いでいます。
TOPへ 50音順 使う目的別 佐藤信夫『レトリック事典』の分類 中村明『日本語の文体・レトリック辞典』の分類
 
混成語 こんせいご contamination
——『ゴーストハント』3巻121ページ(いなだ詩穂・小野不由美/講談社 コミックスなかよし)
渋谷 …いいだろう
もう一度だけ
麻衣を信用して
みよう
——ただし
つぎに
彼女が犯人だと
暗示する証拠が
でてきたら
承知しないぞ」
ぼくは 調べものを
してくる
麻衣はみんなを手伝って
人形を探せ」
舞衣 ラジャりました!
——『ゴーストハント』3巻121ページ
(いなだ詩穂・小野不由美/講談社 コミックスなかよし)


定義重要度

混成語は、2つの違った単語(句)の一部分どうしがくっついてできる、1語(句)の新しい言葉のことをいいます。つまり、2つの異なる言葉(句)のそれぞれの部分どうしが融合して、1つの新しい語(句)が作られる、というものです。


効果

効果1新しいこと言葉を生みだすための方法になる

時の移りかわりによって、新しいものごとが生みだされます。その新しいものごとには、何らかの呼びかたをつけなければなりません。そんなときに役立つのが、「混成語」です。
:新しい、最新、事新しい、目新しい、耳新しい、新規、新式
効果2言いまちがいによって、誤った言葉を生みだすキッカケとなる

言いまちがいによって、誤った言葉を生みだすキッカケとなる
:間違い、やり損なう、し損じる、間違える、間違う、過ち、失敗、とちる、取り違える、手違い、言い違い、言い誤る、言い損なう、過誤、誤り

使い方
使い方1似たものどうしの単語をまぜる

「混成語」と作る第1の条件は、意味が似たものどうしを1つにまぜることです。
使い方2ある単語の「前半部分」と、ほかの単語の「後半部分」とをつなぐ

もう1つの条件は、ある語(句)の「前半部分」と、ほかの語(句)の「後半部分」とをつなぐことです。



例文を見る例文を見る(末尾)

引用は『ゴーストハント』3巻から。

主人公は、谷山麻衣という女の子。

「麻衣」は、「渋谷サイキック・リサーチ(通称SPR)」というところでバイトをしている。
そしてこの「SPR」の所長が、渋谷一也。彼ら「SPR」というグループは、依頼人のまわりで起きているフシギな現象を、科学的に調査している。

で、今回は、学校での怪奇現象。舞台は「湯浅高校」。

調査していくうちに、この怪奇現象が「呪詛」によるものだということがわかった。この「呪詛」というのは、ワラ人形などを使って、呪いをかけるもの。

そして、「笠井」という女の子が「呪詛」をした犯人ではないかという話になる。

だが麻衣は、「笠井は犯人ではない」と直感し、SPR所長をしている渋谷に告げる。それで、例文にあげたシーンとなります。

注目点は、麻衣の言葉。
ラジャりました
というもの。

2つの単語のうち、一部分どうしがくっついて新しい単語が生まれてます。ですので「混成語」といえます。

なお。
私(サイト作成者)には、「ラジャりました」は、かなり目新しい言葉だと思いました。ですがgoogleで「ラジャりました」を検索すると、約1800件ヒットしました。一般的ではないけれど、それなりに使われている言葉のようです。



レトリックを深く知る

深く知る0「混成語」が意図的に作られれるかによる違い

「混成語」には、2つのタイプがあります。1つは、ワザと意図的につくられるばあい。もう1つは、無意識に使ってしまうばあいです。
そこで、この2つのタイプを具体的にみてみます。

深く知る1意図的に「混成語」がつくられるばあい
深く知るa「意図的に」作られることの、動機となるもの
『レトリック小辞典(同学社小辞典シリーズ)』(脇坂豊・川島淳夫・高橋由美子[共編著]/同学社)には、次のような指摘がされています。つまり、
政治・文化・科学などの各方面で新しい事態が注目され、これらについて記述・記事・広告などで新しい語が求められている昨今、社名や商品名を含めて、ますます多くの新語が「混成」によって形成されている。
とのことです(上で『レトリック小辞典』が「混成」といっているのは、そのサイトの「混成語」と同じものです)。

つまり。

現代社会では、いろいろな分野で新しいものが出てきている。そういった新しいものについては、何か新しい名前をつけなければいけない。つまり、現代は「新造語法」が活躍している社会だといえます。

新しい言葉をつくるとき。つまり、「新造語法」が使われるとき。そのパターンの1つとしてチカラを発揮するのが「混成語」です。「混成語」は、2つのことばを1つに縮めることによって、新しいことばをつくることができます。まさに、「新造語法」の代表例です。

深く知るb「意図的に」作られたものの例
たとえば、「ゴジラ」。この単語は、「ゴリラ+くじら」でつくられています。これは、自然発生的なものではありせん。〈ウィキペディアにある「ゴジラ(架空の怪獣)」のページ〉には、プロディーサーの田中友幸氏がネーミングしたと書いてあります。

また、「ジャビット」。このキャラクターは、「ジャイアンツ+ラビット」でつくられています。これもまた、自然発生ではありえません。〈ウィキペディアにある「ジャビット」のページ〉には、一般公募によって名づけたと書いてあります。

深く知る2無意識に「混成語」がつくられるばあい

深く知るa無意識に「混成語」がつくられる、原因となるもの
無意識というのは、ようするに「言いまちがい」です。無意識に「混成語」を作ってしまうのは、組み合わせる単語どうしの意味が近いからです。この点は、「複合語短縮」とは大きく違います。

深く知るb「無意識に」作られたものの例
この「無意識に」作られるものには、「ことわざ」や「慣用句」を間違って使ってしまうばあいにに多く見られます。

たとえば「的を得る」というのは、誤りです。よく考えれば、的を手に入れたとしても、あまりうれしくないと思います。

ですが、こういった間違いは、ときどき目にすることがあります。なぜならこの「的を得る」は、「的を射る」と「当を得た」とを間違えて結びつけて、「的を」+「得る」という「混成語」をつくりあげたものだからです。

深く知る3「混成語」と「複合語縮約」との違い
この「混成語」と取り違えやすいものに、「複合語短縮」というものがあります。

しかし「混成語」は、
  1. 意味が似ている言葉どうしを混ぜる
  2. 一語の前半部分を、もう一つの語の後半部分とを結合して作り出す(前半+後半)
というものです。

この点「複合語短縮」は、
  1. 関係のない意味の言葉どうしの混ぜる
  2. 一語の前半部分と、もう一つの語の前半部分とを結合して作り出す(前半+前半)
というものです。上に書いたような条件によって、「混成語」なのか「複合語短縮」なのか、区別することができます。

「混成語」として有名なのは、「ゴジラ」ということばです。
これは「ゴリラ」の前半部分「ゴ」と、「クジラ」の後半部分「ジラ」をくっつけたものです。つまり、
「ゴ」+「ジラ」=「ゴジラ」
というわけで、「前半+後半」となっています。ですので、「混成語」というわけです。

では。
引用した「ラジャりました」という文は、どうなのかというと。

「ラジャりました」を分析してみると、
  1. 意味が似ている言葉どうしを混ぜる
     →「ラジャー」と「わかりました」は似た意味の言葉といえる

  2. 一語の前半部分を、もう一つの語の後半部分とを結合して作り出す(前半+後半)
     →「ラジャー」の前半部分「ラジャ」と、「わかりました」の後半部分「りました」を結合している
ということができます。なのでこれは、「混合語」に分類することができます。




レトリックの呼び方

呼び方 混成語・混成
呼び方 かばん語
呼び方 混淆語・混淆・混交



別の意味で使われるとき

「混種語」という用語について

「混成語」や「混淆語」に似たような用語として、「混種語」というものがあります。これは一見すると「混成語」「混淆語」に似ていると思えるかもしれません。ですがこの「混種語」は、またっく関係のないものです。

「混種語」というのは、異なった2つの言語にある単語の一部どうしをくっつけて作られる単語のことです。たとえば、英語の「Automobile(自転車)」。これは、ギリシア語「ατ(=auto)」とラテン語の「mobilis」をくっつけたものです。こういったものが「混種語」にあたります。



関連レトリック

新造語法複合語複合語短縮派生語短縮語、サンドイッチ・ワード、頭文字法、逆形成、異分析逆さ言葉、ズージャ語、濫喩接辞添加法、新造語、新出語、外来語、声喩・オノマトペ、音転倒

参考資料

●『語形成と音韻構造(日英語対照研究シリーズ3)』(窪薗晴夫/くろしお出版)

かなりくわしくかいてある本です。あまりにくわしいので、私(サイト作成者)には、手に余るところがあります。
●『ネーミングの言語学—ハリー・ポッターからドラゴンボールまで—〈開拓社 言語・文化選書8〉』(窪薗晴夫/開拓社)

こちらはどちらかというと、やさしく書いてあると思います。例となっているのが「ジャビット」とか「ロッテリア」なので、『へえ〜、あれも「混成語」なのか』といった気分になるかもしれません。



余談

余談1おまけ。「ボクササイズ」について

このサイトの中にある「誇張法」のページでたまたま、「ボクササイズ」という単語を出しました。この「ボクササイズ」というのは、典型的な「混成語」にあたります。

なぜなら、
「ボクシング」の前半部分にあたる、「ボク」
「エクササイズ」の後半部分にあたる、「ササイズ」
の2つを結合して、「ボクササイズ」になっている
からです。


このサイト全体からのサーチ
 
「使う目的別のページ」の中からサーチ
TOPへ 50音順 使う目的別 佐藤信夫『レトリック事典』の分類 中村明『日本語の文体・レトリック辞典』の分類