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漸層法(広義の) ぜんそうほう(こうぎの) climax



  • 定義重要度4
  • 漸層法(広義の) は、いくつもの表現を並べるなかで、表現を強める(または弱める)レトリックの総称です。言いかえれば、前にある言葉のすぐあとに、さらにその内容を大きくするような(小さくするような)言葉を加えるものです。

  • 効果
  • 効果1 主張しようと考えている持論を、伝えやすくなる
  • 主張しようと考えている持論。その持論を、より強く訴えかけることができるようになります。
  • キーワード:主題、テーマ、主張、提唱、唱える、主義、信条、意見、考え、見かた、見解、了見、見識、諭す

  • 効果2 一理あると思わせるようなフレーズをつくる
  • 今まで以上に説得力のある話の流れを作ることで、一理あると思わせるようなフレーズをつくることができます。
  • キーワード:説得力、説く、訴えかける、知らせる、通じる、達する、もっともだ、道理、理屈にあっている、ロジック、一理ある

  • 効果3 相手を鼓舞し、勢いづかせる
  • 「漸層法」を使うことによって、相手を鼓舞し、躍動感あふれる表現を生みだすことができます。
  • キーワード:鼓舞、応援、力づける、引き立てる、躍動感、生き生き

  • 効果4 相手側が持つ反感を、より少なくする
  • はじめから結論を言わない。あからさまにしない。このことで、受け手(聞き手・読み手)から反感が出るのをおさえることができます。
  • キーワード:好感、賛成、くみする、賛同、支持、同意

  • 使い方
  • 使い方1 段々と強めたり反対に弱くなるように、ことばを並べる
  • しだいに盛り上げてピークをつくったりだとか、逆にしだいにトーンダウンして落ちていく感じにしたり表現をとります。つまり、ことばを連続させるなかで、力や大きさを徐々に変化させるものようにすることで、「漸層法(広義の)」を作ることができます。
  • キーワード:だんだんと、漸次、日に日に、しだいに、徐々に、盛り上げる、盛り上がる、高まる、高まり、強める、強まる、強化、高揚、発揚、奮う、奮起

  • 注意
  • 注意1 使いかたによっては、支離滅裂になってしまうことがある
  • この「漸層法」は、受け手(聞き手・読み手)に負担がかかるものです。なので、使いかたによっては、支離滅裂になってしまうことがあります。
  • キーワード:支離滅裂、混然、混沌、ばらばら、ちぐはぐ、不統一

  • 注意2 テーマを最後に語っているので、不利な面がある
  • 説得したり、主張したりするとき。そのばあいには、さいしょに結論を述べるのが基本です。しかしながら「漸層法(広義の)」は、最後に結論を示すものです。そのため、全体としての印象が薄まってしまうこともあります。
  • キーワード:テーマ、本題、主題、セオリー、道理、理屈、理論


  • レトリックを深く知る
  • 深く知る1 「漸層法(広義の)に含まれるレトリック
  • この「漸層法(広義の)」に含まれるものとして、
    • 漸層法(狭義の) 」:ことばを、段階を追って強めていくもの(もっとも典型的な「漸層法」)
    • 漸降法 」:ことばが、段階を追って弱まっていくもの
    • 「連鎖漸層法」:ある文に現れた表現を、次の文の中で反復しながら強めていくもの

    があげられます。ここにあげた「 漸層法(狭義の) 」と「 漸降法 」は、反対の関係にあることが分かります。

    また、この「漸層法(広義の)」に近いレトリックとして、
    • 飛移法 」:表現の方法だとか内容の調子を(段々とではなく)急激に変えるレトリック
    • 頓降法 」:段々と盛り上がってきたものが、急に落ちるように展開するレトリック


    があります。

    くわしくは、それぞれの項目を参照して下さい。


  • 深く知る2 「漸層法」と「列挙法」との関係
  • 列挙法 」は、ひとつのものを色々な角度から描きだすものです。これに対して「漸層法」は、(だんだん強めたり、反対に弱めたりといった)ルールにしたがってことばを並べるものです。したがって「漸層法」は、順序立てた「 列挙法 」と見ることもできます。


  • 深く知る3 「漸層法」と隣接するレトリック用語との関連
  • 「漸層法(広義の)」に隣接する、

    という日本語でのレトリック用語。そして、それに対しての、、
    • 《bathos》
    • 《anticlimax》
    という英語でのレトリック用語。

    この用語をどのように区別するかについては、統一されていないように思われます。そもそも、日本語のほうには3つの用語があるのに、英語のほうには2つしか用語がない。そういったことからみても、まだ一致された考えかたがない、ということを物語っています。

    この点についてこのサイトでは、次のように区別することにします。

    頓降法 」(=bathos)は、ことばが段々と盛り上がっていったあとに、最後で急にストンと落とすというレトリック。
    漸降法 」(=anticlimax)、は、ことばが段々と弱まっていくというレトリック。
    そして、あまってしまった「反漸層法」については、「 漸降法 」の別の呼び方だということにします。

    ただしこの区分は、あくまで1つの考えかたです。他の人が書いた本だとか、他の人が作ったサイトでは、違った説明がされている場合があります。
    ですので、その解説をしている人が、どのような区別をしてレトリック用語を使い分けているか。そこのところを、よく見きわめて下さい。

  • レトリックの呼び方
  • 呼び方5
  • 漸層法・漸層
  • 呼び方2
  • クライマックス・クライマックス法

  • 別の意味で使われるとき
  • ● 「クライマックス(漸層法)」ということばの、日常での使われかた
  • 映画やドラマを見たり、小説を読んだりしているとき。そういった状況で「クライマックス(=漸層法)」といったばあいには、話の最高潮の部分を指します。最も盛り上がったところ、つまり頂上のところを指します。

    ですが、レトリック用語での「クライマックス(=漸層法)」は、ちょっと意味が違います。だんだん頂上へと盛りあがっていく、その流れを「クライマックス(=漸層法)」といいます。

    これは、「クライマックス(=漸層法)」の語源を知ることで、納得できるかと思います。

    「クライマックス(=漸層法)」に付いているclimaxという英語の語源は、「はしご」という意味のギリシャ語です。つまり、はしごを登り降りするようすと、このレトリックの使われかたがよく似ているというわけです。

    ですが、「クライマックス」ということばが日ごろ使われていく。その中で、レトリック用語から意味がだんだんと離れていって、最高潮の部分をさすようになっていったのです。

  • 参考資料
  • ● 『日本語のレトリック?文章表現の技法?(岩波ジュニア新書 418)』(瀬戸賢一/岩波書店)
  • この本は、オモテ向きとしては子供向けです(「ジュニア新書」だから)。ですが、あまり甘く見てはいけません。レトリック用語によっては、かなりくわしく書いてあることもあります。

  • ● 『レトリック辞典』(野内良三/国書刊行会)
  • 同じ著者の書いた、『レトリック入門-修辞と論証-』(野内良三/世界思想社)や『日本語修辞辞典』(野内良三/国書刊行会)もにも、くわしい説明があります。