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変態法 へんたいほう ——
——『イジワルしないで』1巻[右上]13ページ・[左下]31ページ(青木琴美/小学館 小コミフラワーコミックス)
【(1)——学校では、つまずいて転んだとき…】
千秋 大丈夫?
立てる?
ケガは
ない?
まり は…
はいっ…」

【(2)——家に2人だけでいるときは…】
千秋 うるさいんだよ
聞いてもないこと
ペラペラペラペラ
耳ざわり
なんだよ
——『イジワルしないで』1巻
[右上]13ページ・[左下]31ページ
(青木琴美/小学館 小コミフラワーコミックス)


定義重要度

変態法は、相手の呼びかたや待遇などを一変させるレトリックです。感情が高ぶったり興奮したりするために、ある人に対する取り扱いかたや呼びかたなどを変化させることをいいます。


効果

効果1扱いかたが、それまでされていたものとは一変する

それまで、ある人に対してされてきた扱いかた。それが、それまでされていたものとは一変するというものです。それまで良かったものが悪くなったり、反対に、悪かったものが良くなったりするということです。
:待遇、取り扱い、処遇、急変、変わる、変化、激変
効果2気持ちが高まり興奮すると、扱い方が変わる

扱いが急変するのは、気持ちが高まり興奮するときにおこるものです。それまで表には出さずにおさえてきた気持ちを、一気に表に出すことによって生まれるのです、
:興奮、高ぶる、気が立つ、エキサイト、激高、激発、一変、一転、ひょう変

使い方
使い方1語り口を変える

それまでとは、大きく語り口を変えるものです。
:語り口、話しぶり、もの言い、言葉づかい、口ぶり



例文を見る例文を見る(末尾)

引用は『イジワルしないで』から。

主人公は「まり」という女の子。

彼女は「理想とする男性のタイプ」を、次のように語っています(5ページ)。
背が高くって
ハンサムで
成績優秀

髪はサラサラ
整えられた指先に
声は低めの甘いトーン

ここまで言っといて
なんだけど

最後は
やっぱり
性格よね!
…現実にそんな、非の打ちどころのないような男の人がいるのか。

そんな疑問はさておいて、まず【(1)——学校では、つまずいて転んだとき…】を見てみると。
学校でつまずいて転んだとき、きれいな男の子が、「まり」に手をさしのべてくれた。
大丈夫?
立てる?
ケガは
ない?
という、やさしい声をかけてくれた。こんなにも親切にしてくれる男の子に、一目見て好きになる。
何もかもが
あたしの理想
そのまま
だった…  (15ページ)
というふうに描かれています。

彼は、国際コースに編入してきた男の子とのこと。

一方で。
彼女の家に、「お父さんの上司の子供さん」がやってくることになっていた。つまり、その子と同居生活をすることになっていた。
そして、その子が実際に「まり」たちの家にやってくる。

が。やってきたのは、なんと男の子。しかも、学校でつまずいたときに助けてくれた、あの男の子だった。

あの王子様のような男の子と、同居生活することに浮かれる「まり」。

だが、しかし。
家族のみんなに用事があって、「まり」と「千秋」との2人だけになる。

そうすると、【(2)——家に2人だけでいるときは…】では。
うるさいんだよ
聞いてもないこと
ペラペラペラペラ
耳ざわり
なんだよ
と、態度が一変する。(1)の場面で助けてくれた、あの王子様のような男の子と2人でいることに、うれしい「まり」。彼女が「ペラペラ」としゃべっていると、上に書いたようなヒドいことばを投げかける。

そう。彼は「二重人格」だったのです。
学校では、「容姿端麗・眉目秀麗」で、しかも「成績優秀・才気煥発」。
だが「まり」と「千秋」の2人だけの状況だと「君子豹変」する、「二重人格」なのです。

こんな状態から「まり」の一家と「千秋」との同居生活が、はじまります。



レトリックを深く知る

深く知る1「変態法」を説明している本
この「変態法」というレトリック用語は、『新文章講話』(五十嵐力/早稲田大学出版部)と、それを土台としている『日本語レトリックの体系』(中村明/岩波書店)、『日本語の文体・レトリック辞典』(中村明/東京堂出版)でしか(今のところ)見かけないレトリックです。

ですが、『日本語の文体・レトリック辞典』を基本文献としているこのサイトでは、レトリックの1つとして項目を立てておきます。




レトリックの呼び方

呼び方 変態法



別の意味で使われるとき

googleで「変態法」を検索すると

あたりまえのことですが。googleで「変態法」を検索するといっぱい出てくる、「超伝導線材を作製するための急熱急冷・変態法」とは全く関係ありません。



関連レトリック

漸層法(広義の)漸層法(狭義の)漸降法頓降法飛移法、頓旋法、転折法

参考資料

●『日本語の文体・レトリック辞典』(中村明/東京堂出版)

上の方にも書いてあるように、この「変態法」は極めてマイナーです。それでも、長めに説明がなされている本は、こちらになると思います。


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