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要語省略 ようごしょうりゃく brachylogia | ||||||||||
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——『テニスの王子様』1巻143ページ (許斐剛/集英社 ジャンプ・コミックス) |
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要語省略は、語と語との間にあるはずの言葉が省略されてしまう、というレトリックです。「連辞省略」は文と文の間にある接続する言葉を省略するものでした。ですが、この「要語省略」さらに小さい単位、「語と語」の間につける言葉の省略をいいます。 |
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「要語省略」では、「てにおは」のような助詞などが省略されます。ですが、何も考えずに目的もなしに省略するのではありません。伝えたいと思っている内容を、もっと確実に伝える。そのために、大事とは思えないようなことばを省く。これが「要語省略」です。 | |||||
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「要語省略」とは、文法で必要とされている語(語句)を省略することをいいます。したがって文法から見れば「破格」ということになります。 | |||||
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引用は『テニスの王子様』1巻から。 青春学園中等部に入学し、テニス部に入った、主人公の越前リョーマ。 しかし、リョーマは無愛想で生意気な態度をとる。そして、それに怒ったのが、テニス部2年の荒井たち。まず荒井は、リョーマのラケットを隠してしまう。そして荒井はリョーマに、ボロボロのラケットを渡す。そして、それを使って荒井と試合をするように、と言われる。 で、そのボロボロさは、テニスのラケットとして使い物にはならないほど。それを語っているのが引用のシーンです。 「カチロー」という同級生が、そのボロボロさをこんなふうに言っています。 ガットゆるゆるこの言葉は、文法から見れば、抜け落ちている「助動詞」や「接続助詞」があります。ていねいに書けば、 ガットはゆるゆるだしというような文になるはずです。なので、これを、「要語省略」としておきます。 |
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「連辞省略」と「要語省略」との違い。 このサイトではとりあえず。 という区別をしておきます。 しかしながら、じつは。 「連辞省略」と「要語省略」という2つのレトリック用語を、キッチリと区別するのは難しいのです。 それは、なぜかというと。 日本語、英語、フランス語、ドイツ語、・・・という言語によってからです。 たとえば。 「助詞」を省略するためには。その前提として、 その言語の正しい文法に、助詞がなければそもそも、省略ということはできません。 そして。 英語には、助詞がありません。ドイツ語にも、助詞は存在しません。たぶん、ヨーロッパ系の言語には、どれも助詞を持っていません。 なので。 そもそも、「助詞」というものが見あたらないのだから、「助詞を省略する」というのはムリです。 とまあ。 こういった、それぞれの言語のあいだでの違いによって。「連辞省略」と「要語省略」とを、どのように区別するのかが大きく変わってきます。 なので。このサイトでは「要語省略」について、このページの最初に書いたような定義にしておきます。ただし、このような定義は、あくまで「日本語」という言語の中でしか通用しません。それは、ここまで長々と書いてきたようなことが原因です。 |
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これより下に書くことは。ちょっと、上の説明だけでは「100%は納得できない」という人のための文章です。なので、「要語省略」というレトリックを深く考えてみたいという方だけ読んでみて下さい。 「連辞省略」と「要語省略」の違い——英語のばあい。 英語では、わりと2つの違いは分かりやすい。 具体的には、 というふうに、わりとハッキリと分けることができるからです。 おもに、英語をもとに説明しようとしている本では。このように定義しているものが、ほとんどです。 たとえば、
(なお。このニュアンスでは「要語省略」という翻訳をすることが多い。) |
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つぎに。 「連辞省略」と「要語省略」の違い——フランス語のばあい。 これは、アタマを悩ませます。 とりあえず。 「接続詞の省略」については、フランス語でも「連辞省略」としておくことができます。 たとえば、『レトリック(文庫クセジュ 833)』(オリヴィエ・ルブール[著]、佐野泰雄[訳]/白水社) は「接続辞省略(=連辞省略)」について。 接続の言葉(「……なので、ちょうど……する時に(comme)」「ところで(or)」「したがって(donc)」「しかしながら(cependanr)」など)に関わる省略法である。としています。 とすると。フランス語の「前置詞」を省略するのが「要語省略」かと思いきや。そうはなっていないのが、やっかいなのです。 たとえば、『ラルース言語学用語辞典』(J・デュボワほか[著]、伊藤晃・木下光一・福井芳男・丸山圭三郎・泉邦寿・小野正敦・戸村幸一[編訳]/大修館書店)。 例えば,sur le plan formeという表現は,従位詞が欠けているので連結辞省略となる。よい慣用ではsur le plan de la forme「形の面では」と言うことを求めるからである。とまあ。前置詞「de」の省略については「連結辞省略(=連辞省略)」だといっている。 だとすると。 「要語省略」のほうは、どのように扱っているのかというと。 やや、回りくどくなりますが、 いくつか文がならんでいて、その文に同じことばが何度も出てくる。そのとき、ダブって出てくることになることばを、いちばん最初の文で1回だけ使うだけにして、2番目以降の文では省略する。といったもの。これを「要語省略」とします。 またもや『ラルース言語学辞典』を見てみると、「簡約語法(要語省略)」のあたりには、こんな例文が出ています。 例:Les mains cessent de prendre, les bras d'agir, les jambes de marcher. 「手は取ることをやめる,腕は行動することを,足は歩むことを」(ラ・フォンテーヌ)。見てのとおり。もしも文法どおりならば、何度も「やめる」という単語が出てきたはずです。だけれども、それを文字として表現しなかった。このようなものを、フランス語系では「要語省略」と考えるのがふつうです。 (なお。このニュアンスでは「簡約語法」という翻訳をすることが多い。) |
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このあたりのことは、『レトリック事典』が分かりやすい説明をしていると思います(13ページあたりから)。 私(サイト作成者)は、そもそもフランス語ができません。なので、とくにフランス語での「要語省略」についての説明は、いまいちうまくできません。 その点。『レトリック事典』はフランス語系のレトリック書なので、おおいに助かりました。まさかフランス語で書かれたレトリック書を読むことはできませんので。 |
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要語省略 | |||
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簡約語法 |
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省略法、語頭音消失、語尾音消失、語中音消失、連辞省略、主辞内顕 | |||
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この本の14ページ目あたりに、上に書いた「要語省略」と「簡約語法」との違いについてが書かれてあります。まあ、ネタ本といって差し支えないでしょう。 | |||
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「要語省略」の例文が、英語で書かれているものがほしい。そういった珍しいかたは、こちらの本を読んでみてください。 | |||
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