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連辞省略 れんじしょうりゃく asyndeton
——『サトラレ』2巻160ページ(佐藤マコト/講談社 イブニングKC) 会いたい
さみしい
オレはここにいる
かなしい
つらい
苦しい
さみしい
一緒に何かしたい
会いたい
かなしい
怖い
あきらめろ
ふり返るな
聞いてくれよ
頼むよ
誰か見てくれよ
もういやだ
もっと喋りたかった
気がおかしくなりそうだ
もういやだ
——『サトラレ』2巻160ページ
(佐藤マコト/講談社 イブニングKC)


定義重要度

連辞省略は、接続詞を省略するレトリックです。つまり、「そして」「なので」「だが」…といった接続詞を用いないで、ただ、文を並べるだけというレトリックです。


効果

効果1話のスピードを速くする

何度も接続詞をつかうと、かったるい文ができあがる。それはもちろん、論文のようなシッカリとした書きものには必要なことです。けれども、日ごろの会話やメールのやりとりにまで、いちいち接続詞を使うことはありません。スムーズなかたちの文章に仕上げる、そのためには、「連辞省略」をすることに効果があります。
:日常会話、メール
効果2事態が急転しているようすをあらわす

文と文とのあいだに接続詞をはさむ余裕がない。それほど、表現をしている登場人物の心が危機迫っていて、あわてている。そのような様子をあらわすことができます。
:あわてる、ひっ迫、切迫、断絶、さしせまる
効果3リズム感や躍動感が出る

接続詞を使わない。そのことで、接続詞以外の残りの文にリズム感や躍動感を加えることができます。
:リズム感、リズミカル、テンポ、歯切れ、躍動感、力強さ、調子
効果4省略された接続詞を補うことで、想像をかきたてられる

省略された接続詞を補うことで、想像をかきたてられます。
:想像、余韻、余情、味わい

使い方
使い方1接続詞を省略する

接続詞を省略して、ただ文を並べていく。つまり、文と文とのあいだにあるはずの接続詞をなくして、文をいくつも続けていく。
:並べる、続ける

注意

注意1論理性が失われることがある。

論文やニュースなどでは、確実に相手方へと伝わらなければなりません。そのようなばあいには、この「連辞省略」をつかうのは、マイナス効果となります。



例文を見る例文を見る(末尾)

で、引用は『サトラレ』2巻から。

「サトラレ」——それは、日に出さなくても、自分の考えていることがまわりの人たちに「悟られ」てしまう、不思議な能力の持ち主のコト。
そして、主人公の「片桐」の娘は、この「サトラレ」だった。

この世界では、「サトラレ」に「サトラレ」だと気がつくことのないようにするのが法律で決まっている。だから、片桐の娘が「サトラレ」であることも、本人には知らせていない。

だが、彼女はもう18歳。片桐は、娘に「本人がサトラレであることを知らせたい」と思うようになる。
そのことは、確かに違法行為になっている。そして、社会も「本人がサトラレであることを気がつかせない」ために、さまざまな手段をとっている。だがやはり片桐は、娘に知らせたいと思う。

そこで。
片桐の知人の「白木」という男のもとへ行く。彼もまた「サトラレ」で、そのことをはばかって無人島での生活をしている。

そんななかで話をしているうちに、「白木」の心から出てくる、「サトラレ」に特有の「心の声」が聞こえてくる。それが引用のシーンです。

とにかく、接続詞がないのです。文がバラバラと置かれているだけ。それぞれの「心の声」がどのような関係にあるのか知らせるための、接続詞がない。なので、この部分を「連辞省略」と考えます。



レトリックを深く知る

深く知る1愛称語の作りかた


深く知るa「連辞省略」と「連辞畳用」との関係
この「連辞省略」の反対の「レトリック」に、「連辞畳用」というものがあります。これは、逆に接続詞を必要以上に使うことをいいます。

深く知るb「連辞省略」と「要語省略」との関係
要語省略」は、単語と単語の間の言葉の省略でした。しかし「連辞省略」では、もう少し大きなスケールである文と文との間の接続詞を省略することになります。

深く知るc「連辞省略」と「漸層法」との関係
接続詞をだんだんと減らしていくことで、「漸層法(広義の)」の効果をえることができます。

深く知るd「連辞省略」と「ことわざ」との関係
「連辞省略」を使った「ことわざ」も、たくさんあります。これは、短い文の中に多くの情報を詰めこもうとすると、多くのばあい接続詞が省略されてしまうからです。

深く知るe「連辞省略」とその他のレトリックとの関係
このほかに、「対照法・対句」や「平行法」にも関係があるとされます。

深く知る2日本語での「連辞省略」

『レトリック辞典』(野内良三/国書刊行会)によると。この「連辞省略」は「日本語ではあまり問題とならない」としています。

特に日本語の会話のなかでは、無意識のうちに接続詞を省略しているという場合が多くあります。そのようなものまで「連辞省略」とすることには、少なからず無理があります。それは、なんらかの効果をねらったものでないのだから、レトリックとは考えにくいものです。

ですが、意図的に「連辞省略」をすることが全くないとは言えません。




レトリックの呼び方

呼び方 連辞省略・連辞省略法
呼び方 接続詞省略・接続詞省略法・断叙法・断叙連辞
呼び方 連結辞省略・アシンデトン
呼び方 連辞断絶・接辞省略・接続語省略


関連レトリック

省略法語頭音消失語尾音消失語中音消失要語省略主辞内顕

参考資料

●『大人のための文章教室(講談社現代新書 1738)』(清水義範/講談社)

小説を書くにあたっての、接続詞の使い方について書いてある本。小説家の視点で書かれているので、そういった面での「連辞省略」の効果を知りたい人向けです。
●『日本語修辞辞典』(野内良三/国書刊行会)

レトリックの方面から、「連辞省略」について扱っている本。この本では「接続詞省略法」というレトリック用語が使われています。


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