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前辞反復 ぜんじはんぷく anadiplosis
——『銀色のハーモニー』2巻97ページ(柊あおい/集英社 りぼんマスコットコミックス) 昨日より 今日

今日より 明日


毎日 あなたを好きになる
——『銀色のハーモニー』2巻97ページ
(柊あおい/集英社 りぼんマスコットコミックス)


定義重要度

前辞反復は、前の文の最後にあることばを、次の文の最初でくり返すレトリックです。つまり、先行する文の末尾で用いられた語句を、次の文の文頭でもう一度使う技法です。


効果

効果1前後の文が、お互い連結しているように感じられる

前に置かれた文と、それに続く文が同じ単語になっている。これによって、前後の文が結びつき、一体感を出すことができます。
:連結、つなぎ合わせる、結ぶ、接続、続く、続き、連なる、連ねる、連接、連鎖、つながる、係わる、関係、関係づける、結びつける、つながる、つながり
効果2前後の文が、なめらかに展開して進んでいく

「前辞反復」を使って、文の終わりのことばを次の文の最初におこ。これによって前の文がもっていた味わいを、無理することなく次の文につなげることができます
:なめらか、スムーズ、円滑、流れ、流す、広がる、広まる、広げる、展開、くり広げる
効果3わりとおとなしいレトリック

この「前辞反復」を使うのは、詩などの専門的なものだけではありません。日ごろ生活しているなかでも、気軽に使っているものです。メインで使われるのは、話しことばです。
:さりげない、気軽、フランク
効果4くり返しによって、リズム感のある快い諧調を生む

ことばがくり返されることで、リズム感や快い諧調をによる弾みが生まれます。これも、「前辞反復」の重要な点です。
:くりかえし、重なる、重ねる、重複、反復、たび重なる、リズム、快調、律動、快い、テンポ、ペース、弾む、弾み、調子づける、勢い、語調、語勢、調べ

使い方
使い方1使い方は、すごく簡単

前の文の、最後にある単語やフレーズ。その単語やフレーズを、次の行の先頭に使う。これが「前辞反復」の使い方です。この「前辞反復」については、これ以上の説明は必要ないと思います。

注意

注意1技巧的な文章だ、と感じられてしまうおそれがある。

「前辞反復」は、ちょっと見ただけですぐにレトリックが使われていることがわかります。ですので「前辞反復」は、あまり何度も使うのは避けたほうが無難です。
:技巧的、不自然、妙、奇妙、風変わり、奇異
注意2その場の行き当たりばったりに話している、と感じられる

前もって、アイディアを持っておかない。行き当たりばったりに話を始める。すると「前辞反復」が、必要以上に使われてしまうことになりかねません。



例文を見る例文を見る(末尾)

引用は『銀色のハーモニー』2巻。

主人公の琴子が、好きになった海くんへの気持ちを述べた部分です。

まあ、そういう場面の背景を無視しても、このレトリックが使われていることはすぐにわかります。

前の文の最後にある「今日」という言葉が、次の文の最初にも使われている。ここが「前辞反復」にあたります。

なお。
引用したところは、昨日→今日→明日と段々と盛り上がっています。その点に注目して「漸層法(狭義の)」のレトリックも少し使われているとみていいでしょう(そういうふうに考えていくと、引用した文は、もう少し規模が大きいと「連鎖漸層法」といえる)。



レトリックを深く知る

深く知る1「前辞反復」と「連鎖法」との違い
「連鎖法(concetenation)」というレトリック用語があります。

この「連鎖法」について『レトリック事典』は、つぎのような提唱をしています。
  • 「連鎖法」は、「前辞反復」の下位分類となるレトリック用語にあたる

  • 「前辞反復」が前文の最後のことばを「完全に」引き継ぐのに対して、「連鎖法」は前文の最後のことばを「変形して」引き継ぐ
まとめてみると、このようなことになると思います。

ですが残念ながら。
「前辞反復」と「連鎖法」との関係と、それぞれの定義については、多くの学者の一致したものではないようです。今のところ。

そのような理由から、このサイトでは「前辞反復」と「連鎖法」は同じものと考えておくことにします。





レトリックの呼び方

呼び方 前辞反復・前辞反復法、尻取り文、尻取り構文
呼び方 連鎖法・連鎖・アナディプローシス・アナディプロシス
呼び方 末語頭語同一・尻取り連鎖文・前句反復・同語反復・前辞畳用


関連レトリック

連鎖法、連鎖漸層法、反復法畳句法畳語法隔語句反復復言法類義累積回帰反復首句反復結句反復首尾語句反復おうむ返しトートロジー循環論法異義復言同綴同音異義類音語反復疑惑法継起的音喩倒置反復法交差配語法逆対句

参考資料

●『文章表現の基礎的研究』(相原林司/明治書院)
かなりのページを使って、「尻取り文」を説明しています。また、いろいろな文章を例に出して説明しているので、そういった点も参考になると思います。
●『小林英夫著作集8 文体論的作家作品論』(小林英夫/みすず書房)
この本の著者は『小林英夫著作集9 講演・寄与・書評』(小林英夫/みすず書房) でも「しり取り構文(=前辞反復)」を扱っています。


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