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頭韻 とういん alliteration
——『GUNSLINGER GIRL』1巻表紙(相田裕/メディアワークス 電撃コミックス) GUNSLINGER GIRL』 Vol.1
相田裕
——『GUNSLINGER GIRL』1巻表紙
(相田裕/メディアワークス 電撃コミックス)


定義重要度

頭韻は、2つ以上の単語で、決められた位置の音が同じものをいいます。

そして、ここにいう「決まられた位置」というのは、次の順序によって導きだされたルールによって割り当てられることになります。
(1) それぞれ単語に含まれている、「アクセント」がある音節を見つける。
(2) その「アクセント」がある音節の中で、最初にある子音を調べる。
(3) このようにして出てきた子音が、2つ以上の単語で同じものとなっている。
…そういうことなのですが。
短くまとめて説明するのは、かなり難しいです。なので、くわしくは下のほうに書いていきます。

このサイトでは、とりあえず「英語」で「頭韻」をつくるばあいのルールを書いていくことにします。なお、フランス語などでは、それぞれ「頭韻」をつくるための決まりが少しちがいます。その点は、ご注意ください。


効果

効果1あまり「脚韻」と変わらない

効果のほうは、「脚韻」と大きな違いはありません。ですので、くわしい説明は「押韻」のページに書いてあります。くわしいことは、そちらのページをご覧ください。

使い方※「頭韻」の作りかたは少しメンドウな決まりがあります。
使い方1ステップ1:「頭韻」にしたいとおもう単語の「アクセント」を調べる

英語で「頭韻」を作るためには、「アクセント」が重要なキーポイントになります。ですので、まずは単語のどこに「アクセント」がどこにあるのかということを調べます。
使い方2ステップ2:その「アクセント」が使われている「音節」をさがす

つぎに。【ステップ1】で見つけた「アクセント」が含まれている「音節」をさがします。これは、つぎの【ステップ3】でチェックする項目が、「音節」を基準になっているからです。なので、【ステップ1】で見つけた「アクセント」を含んでいる「音節」を見つけます。
使い方3ステップ3:その「音節」のなかで、最初に使われている「子音」に注目する

ほとんどのばあい、それぞれの音節では一番はじめに「子音」があります。ですので、その「子音」に注目します。
使い方4ステップ4:こうして見つけた「子音」が、それぞれの単語で同じがを検討する

「頭韻」が完成するのは、同じ子音がくりかえし登場しているときです。なので、「ステップ3」で見つけた「子音」と同じ音が、ほかの単語でも見つかるかどうか検討します。このように検討した結果、同じ「子音」が何度も出てくるのであれば、「頭韻」が成りたっているといえます。

注意

注意1ちょっと古くさい感じがする

現在のヨーロッパで「押韻」をするばあいには、「脚韻」のほうが多く使われます。そのことが分かるのはたんに「韻を踏む」といったばあいには「脚韻にする」ということを指し示すということからも、見えています。



例文を見る例文を見る(末尾)

引用は、『GUNSLINGER GIRL』1巻表紙からです。でもって、ここで使われている
GUNSLINGER GIRL』
というタイトルが「頭韻」だというわけです。

念のため。これがホントに「頭韻」なのかどうか、ステップ1から順を追って見ていくことにします。


使い方1ステップ1:「頭韻」ではないかとおもう単語の「アクセント」を調べる

「GUNSLINGER」と「GIRL」という2つの単語について。それぞれアクセントを調べてみると、
GUNSLINGER GIRL
となっています。【ステップ2】から先に進んでいくためには、このことを確かめておいたほうが安全です。


使い方2ステップ2:その「アクセント」が使われている「音節」をさがす

つぎに。【ステップ1】で見つけた「アクセント」は、どの「音節」に含まれているのか。つまり、「アクセント」をもっている「音節」を探す必要があります。探しているときには、「1つの音節には母音が1つだけ」という「音節」のルールがあることを忘れないでおいてください。

すると。
GUNSLINGER GIRL
となります。

このように見ていくと。
[GUNSLINGER]のうちアクセントのある[GUN]だけが、「アクセントのある音節」となることわ分かります。反対に言えば、[-SLING]と[-ER]の部分については「頭韻」になるかどうかの判断には影響してこない。そういうことを確かめることができます。


使い方3ステップ3:その「音節」のなかで、最初に使われている「子音」に注目する

これのステップ3については、迷わずに見つけることができると思います。ようするに、
GUNSLINGER GIRL
となります。この「アクセントのある音節のなかで、最初の子音になっているもの」。これが、「頭韻」なのかどうかを左右します。


使い方4ステップ4:こうして見つけた「子音」が、それぞれの単語で同じがを検討する

そういったわけなので。それぞれ見つけ出した「子音」を比べて見てみると、
GUNSLINGER GIRL
となります。つまり「頭韻」なのかどうかを判断する子音は、どちらとも/g/です。つまり、「子音が同じもの」になっています。

以上のようなことから、結論として。この[GUNSLINGER GIRL]というフレーズは、「頭韻」に当てはまるということができます。



レトリックを深く知る

深く知る1日本語には「頭韻」はあるの?
ここまで書いてきたことは、すべて「英語」のなかで「頭韻」が成りたつかどうかというものです。それは逆に言うと、「日本語」であっても「頭韻」が成りたつかということには、ふれていないということです。

ですが。「日本語」でも、「英語」と同じように「子音」を見つける「ステップ」が決まっているかというと、そうカンタンにはいきません。

その「カンタンにはいかない」という理由としては、2つのものを指摘することができます。

1つ目は、「アクセント」という用語が同じものではないという点です。

つまり、「英語のアクセント」と「日本語のアクセント」というのは、同じものではないのです。くわしく書くと、「英語のアクセント」というのは、「いきおいよく、強く言う」ところのことをいいます。ですが「日本語のアクセント」というおんは、「高い音を出して言う」ところのことをいうのです。

そういった関係で。同じ「アクセント」という用語を使ったとしても、「英語」と「日本語」とでは違うものなのです。

そのため。この食い違いをどのように処理するかというのが、1つ目の問題点となります。

また。理由の2つ目は、やたらと「日本語の音節」が短い、ということです。たとえば[GUNSLINGER GIRL]という単語は、3つの音節で成りたっています。[GUN]+[SLINGER]+[GIRL]の3つです。

ところが。日本語で「ガンスリンガー ガール」といったばあい。これを音節に分けると、「ガ・ン・ス・リ・ン・ガ・ー・ガ・ー・ル」という10コも音節があることになってしまうのです。

そして、このことと関連して。「日本語」は、「音節の種類」がとても少ないのです。言いかえれば、細かい音節をたくさん積み重ねてことばをつくる、それが「日本語」の特徴なのです。

したがって。このあたりを、うまく説明できる方法を考えないと、日本語での「頭韻」をうまく説明することはできなくなります。

深く知る2それを踏まえて、日本語での「頭韻」を考えてみる

上に書いていたとおり。
日本語ということばのなかで、「頭韻」というものはどういったものか。そういったことは、いろんな説が考え出されています。

ですので。いろいろある説のうち、いくつかを紹介しておきます。


深く知る2日本語では「頭韻」というものはない

まず、日本語には「頭韻」はないとする説。つまり、頭韻がある「英語」のような言語と大きく離れている「日本語」には、そもそも「頭韻」という用語を当てはめることができないとする考えかたもあります。

ですがこの説には、このサイトでは採用しません。

たしかに厳密に考えれば、「日本語」では「頭韻」を作ることができないとするのは理解できるものです。けれども、あっさりと「日本語には頭韻はない」としてしまうのは、かなり消極的な、保守的なものだと言わざるをえないからです。


深く知る2日本語では、「音素」が一致していれば「頭韻」だとする説

つぎに、2番目の説では。
「頭韻」だといえるためには。いちばん最初の単語のもっている「音素」が、同じになっていることだけを条件にします。

逆にいえば、「アクセント」については考えに入れないということです。「アクセントがあるかどうか」という点を、「日本語」では無視するという考えかたです。

このような考えかたをする理由。それは、つぎのようなものです。

どうして、日本語では「頭韻」がカンタンに作れないのか。それは、ヨーロッパの言語では考えることのできる「頭韻」が、日本語にはピッタリ当てはまらないからだ。それではなぜ、ヨーロッパの言語にある「頭韻」が、日本語ではシックリこないか。それは、「アクセント」の置きかたが、まったく違うからだ。

ヨーロッパの言語にあるはずの「頭韻」が、日本語にはストレートに当てはまらない原因。つまりトラブルを起こしているのは、「アクセント」という部分にある。

じゃあ。
「頭韻」を考えるときには、「アクセント」については無視しよう。日本語で「頭韻」というものを考えようとするときに、トラブルを起こしているのは「アクセント」だ。それなら、日本語ので「頭韻」をあつかうときには、「アクセント」にかんしては条件からハズしておこう。

そういったわけで。
日本語は、さいしょの「音素」がそろっていれば「頭韻」になる。これは、そのような考えかたです。
ろっているかどうかをある「アクセントがあるかどうか」という点を、「日本語」では無視するという考えかたです。
コカ・コーラのCMを集めたDVDを、アマゾンで発見。「スカッとさわやか」のテレビCMが、たくさん入っているらしい。
もちろん、実際に見たわけでも買ったわけでもない。


この説で考えると、例えば、
「スカッとさわやかコカコーラ」
のような広告は「頭韻」ということができます。

それぞれの単語がもっている、一番最初の音が、
カッと わやか ←S音の反復
か・ーラ     ←k音の反復
といったふうに。そこには、2つの「頭韻」を見つけることができます。

ですが。
この説を日本語に当てはまると。大きな問題が1つ出てきます。それは、
あんまり目立たないので、「頭韻」だと気がついてもらえるかが難しい
という点です。なんでかというと、日本語には「子音」の種類が少ないのです。そのため、「最初の子音が、たまたま偶然に同じだった」ということが、十分にありえることなのです。

ですので。この説を選んだばあいには、かなり多くの「子音」をそろえることが必要となってきます。たとえば、
さかたの かりのどけき るの日に
しづ心なく なのちるらむ     (紀友則)
という和歌のように、しつこいほど同じ「子音」を出してくる必要があります。この和歌では、子音/h/が4回も反復しています。これくらい反復してくれないと、「頭韻」と受けとるのは難しいものがあります。

※補足 なお、紀友則がいた平安時代の初期には。「ハ行」は「ふぁ[a]、ふぃ[i]、…」というような発音だった。…とまあ、そういったことが気になる人は、「ウィキペディア」にある「五十音」とか「中古日本語」とか「無声両唇摩擦音」とかのページを見ると、解説があります。それと、「ハ行」の音が語中と語末にあったばあいには「ハ行転呼」なるものがあったりもするけれど、「頭韻」は語頭にあるので関係ない。


日本語では、「はじめの子音+母音」が一致していれば「頭韻」だとする説

いろいろ調べてみた中では、この説がいちばん受け入れられていると思います。

つまり、
さいしょの[子音+母音]が同じならば、「頭韻」だといえる
とする考えかたをするものです。言語学のほうでは、この[子音+母音]のことを「モーラ(拍)」と呼んだりします。ですので、いいかえれば
さいしょの「モーラ(拍)」が同じならば、「頭韻」だといえる
ということになります。

「頭韻」については、この説明をする本がいちばん多いといえます。

でも。
どうして多くの本で、この「さいしょのモーラ(拍)が同じならば、頭韻といえる」と解説する本がおおいのか。その理由は、
「モーラ(拍)が同じ」ならば、「ひらがな・カタカナで書いたばあいに同じ文字が来る」
という原則を、「日本語」が持っているからです。このことを根拠とする書物は、かなりたくさん見つかりました。

この説を支持すると、「頭韻」がといえるもの。その例としては、
せばなる さねばならぬ にごとも らぬはひとの さぬなりけり
                                        (上杉鷹山)
といたものがあげられます。「ひらがな」で書けば「先頭に同じ文字が、くり返し出てくる」ということが分かります。

なお。
このように、「同じ文字が来るから」という理由を、あまり大きく見ない立場もあります。

「モーラ(拍)」が一致するというところに、「音の一致」を感じとる。そうやって感じとった「音の一致」というものが、「頭韻」を生みだす。このような考えかたもあります。

たしかに日本語の「頭韻」では、「文字」が一致する。でも「文字」が一致するというのは、あくまで、「モーラ(拍)」が同じときには「文字」も同じになるという、日本語の「文字」のしくみがあったからにすぎない。

つまり、
「モーラ(拍)」が一致 ┌→

└→
「頭韻」として感じとる
「文字」が同じになる
なのであって、
× 「文字」が一致 ┌→

└→
「頭韻」として感じとる
「モーラ(拍)」が同じになる
というわけではない。 そういうことです。

この考えかたにそえば。
日本語で、「頭韻」を考えるときに、そのいちばん根っこにくるのは「モーラ(拍)」だということになります。このように、日本語の音に対する感覚から「頭韻」の本質を考えていくことも大いに考えることができます。

こちらの考えかたについては、『ネーミングの言語学—ハリー・ポッターからドラゴンボールまで—〈開拓社 言語・文化選書8〉』(窪薗晴夫/開拓社)が、とても参考になります。




レトリックの呼び方

呼び方5 頭韻・頭韻法



関連レトリック

音喩継起的音喩韻文押韻脚韻音数律畳句法畳語法隔語句反復復言法畳音法同音集中反復法回文ダブルミーニング

参考資料

●『シェイクスピアのレトリック』(梅田倍男/英宝社)

この本は、「英語」での「頭韻」について、くわしく説明されている本です。ただし、「日本語」での「頭韻」については書かれていません。また例文が英文(シェイクスピア)のものです。なので、私(サイト作成者)は読んでいくのに時間がかかりました。この本がオススメなのかどうかは、読む人がどれくらい英語力をもっているのかによって左右されると思います。
●『ネーミングの言語学—ハリー・ポッターからドラゴンボールまで—〈開拓社 言語・文化選書8〉』(窪薗晴夫/開拓社)

この本については、上のほうでもふれましたが。日本語のばあい、どのような条件が満たされていれば「頭韻」と思うようなことばになるか。そういったことを、音声学のほうから書かれているのが、この本です。一般向けに書かれている本なので、言語学とか音声学なんかほとんど知らない人でも、予備的な知識なしに読むことができるようになっています。
同じ著者の本で、『語形成と音韻構造〈日英語対照研究シリーズ(3)〉』(窪薗晴夫[著]、柴谷方良・西光義弘・影山太郎[編]/くろしお出版)などもあります。ですが、こちらなどは学術書の色合いが強いので、ちょっとレベルが高いように思います。



余談

余談1「ガンスリンガー」の意味

ちなみに

「GUNSLINGER」という単語。みなさん、この単語の意味を知っているでしょうか?
GUNSLINGER [名](銃器所持の)殺し屋
だそうです。私は、あまり英語が得意でないので、この単語を辞書で引いて調べてしまいましたよ。

それはともかく。
ヘンリエッタ萌え〜。


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