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翻案 ほんあん adaptation
——『ざ・ちぇんじ!』1巻表紙(山内直実・氷室冴子/白泉社 花とゆめCOMICS) 『ざ・ちぇんじ!』
新釈とりかえばや物語
 1

山内直美/原作 氷室冴子
——『ざ・ちぇんじ!』1巻表紙
(山内直実・氷室冴子/白泉社 花とゆめCOMICS)


定義重要度

翻案は、小説などの1つの作品の流れをまねたものです。つまり、原作にあるストーリーの流れや内容をもとにして、新しく作りなおすことをいいます。


効果

効果1文化が大きく違うばあいに、日本向けにアレンジできる

文化が大きく離れた場所で、くり広げられる物語。それをそのまま翻訳したとても、うまく伝わらないことがあります。このときに「翻案」を使う。すると物語を換骨奪胎をして、自分たちが住んでいる土地の文化で分かりやすいものに、置きかえることできます。
:文化、カルチャー
効果2もとの作品にアレンジを加えて、味つけをかえる

「翻案」する、もとになっている物語。これを「翻案」するときに、あるていどの味つけをする。そのことによって、よりおもむきのある物語になります。これは、上に書いた「換骨奪胎」とまでは行きませんが、考え方としては同じものです。
:味つけ、アレンジ

使い方
使い方1原作をいかしつつも、新しいアイディアでの創造を加える

「翻案」は、原作そのままではありません(それは「盗作」)。そうではなくて、原作をいかしつつも、新しいアイディアでの創造を加える。原作にあるモチーフを活用しつつも、「翻案」をつくるために、一味ちがった雰囲気を出す。それがポイントです。
:原作、プロット、モチーフ、起因、動因、動機、構想、仕組み、筋書き、筋立て、筋、あらすじ、梗概、コンポジション、ストーリー、テーマ、主題、題材、アイディア、思いつき、考えつく、着想、発想、趣向、考えだす、ひねり出す、捻出、創造、生む、生みだす、形づくる、生成



例文を見る例文を見る(末尾)

引用は『ざ・ちぇんじ!』1巻の表紙からです。

このコミックスは「とりかえばや物語」という作品の翻案です。厳密にいうと、「とりかえばや物語」を翻案したのが氷室冴子の小説「ざ・ちぇんじ」で、それをさらにコミックスに翻案したのが山内直実の「ざ・ちぇんじ」となるのでしょうか。とにかく、翻案です。

「とりかえばや物語」について勉強しておくと。
これは平安後期成立(一説には鎌倉初期とも)。作者未詳の物語文学です。兄妹が姿を変えて育てられ、成人したことから起こる数々の波乱や事件を扱っています。

なお、「マンガ日本の歴史」シリーズのように、ほぼ原作をそのままマンガにしたものもあります。それはそれで面白いし、私としては読むのが好きではあります。ですが、「翻案」というの手法をよくあらわしているのは、「ざ・ちぇんじ!」のように、マンガにする際にかなり脚色のはいったものであるという気がします。



レトリックを深く知る

深く知る1「翻案」と「本歌取り」「パロディ」との関係
「翻案」は、1つの物語をまねるレトリックです。そして、これに似ているレトリックとして「本歌取り」と「パロディ」があります。

「本歌取り」は、和歌で用いられるレトリックです。そしてこの「本歌取り」は、これまで詠まれてきた和歌の作品を、まねるものです。たしかに、これまでの「和歌」の全てをまねるものではありません。

ですが新しい和歌を作るとき、「本歌取り」の「本歌」にあたる和歌をそのまま盗用することはできません。趣向を重んじつつも、新しい和歌としてのオリジナリティを持つことが大切です。

パロディ」は、もとの作品をアレンジする点では「翻案」と同じです。けれども「パロディ」は多くのばあい、諷刺や滑稽をするばあいに使われます。からかう、といったニュアンスをもっているかどうかによって、「翻案」と 「パロディ」は異なります。

深く知る2コミックスのなかの「翻案」

コミックスには、翻案して作られた作品が多くあります。たとえば、
  • 『最遊記』(峰倉かずや/エニックス Gファンタジーコミックス)は「西遊記」の翻案(?)
  • 『封神演義』(藤崎竜/集英社 ジャンプ・コミックス)も「封神演義」の翻案
といったように、コミックスの世界で「翻案」の例をあげれば、山のようにあります。




レトリックの呼び方

呼び方 翻案


関連レトリック

映原、パロディ、パスティーシュ、引用法明示引用暗示引用引喩

参考資料

●『短歌レトリック入門——修辞の旅人』(加藤治郎/風媒社)

「翻案」と「本歌取り」との比較については、この本が役立つと思います。
●『時代小説家になる秘伝—プロ作家養成塾—(ベスト新書 172)』(若桜木虔/KKベストセラーズ)

小説を書きたい人への、ハウツー本です。この本は、かなりくわしく「翻案」について書かれています。この本の主な読者は、小説を書きたい人です。けれども、それ以外の人でも参考になると思います。

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